セクター投資とは?業種分類と分散投資への活用をわかりやすく解説

セクター投資とは?業種分類と分散投資への活用をわかりやすく解説 お金の言葉
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セクター投資の仕組みと業種分類を解説する4コマ漫画

セクターとは、株式市場を業種ごとに分けた区分のことです。
銀行は金融、トヨタは輸送用機器、というふうに、事業の内容で会社を分類します。

セクター投資は、この区分を使って投資先を決める考え方です。
景気が良くなりそうだから景気に強い業種を厚くする、といった使い方が一般的に紹介されます。

ただ、この記事で書くのはその使い方ではありません。
先に結論を書くと、業種を選んで賭ける、という使い方はしていません。
使っているのは、高配当株を30銘柄に分けて持つときに、受け取る配当が特定の業種に偏っていないかを確かめる物差しとしてです。

📝 この記事でわかること

✅ セクター=株式市場を業種で分けた区分
✅ 日本株は東証の33業種、米国株はGICSの11セクターが標準
✅ 景気に振れやすい業種と振れにくい業種という分け方がある
✅ 業種を読んで乗り換える使い方はしていない
✅ 使っているのは「配当がどの業種から来ているか」を確かめる物差しとして
✅ 実録の30銘柄は17業種に分かれ、いちばん多い業種でも年間配当の7.6%
✅ ただし業種が違っても需要のもとが同じ場合があり、そこは業種表では見えない

まぐ
まぐ

セクターって、要するに業種のことやんな。
それをわざわざ投資の話にする意味あるん?

チャッピー
チャッピー

1社ずつ見てるだけやと気づけへんことがあるからやな。
たとえば10銘柄持ってて、そのうち6社が銀行やったとする。
銘柄としては10に分けてるけど、起きることはだいたい同じになる。
そこを見るための区分やねん。

日本株は33業種、米国株は11セクター

業種の分け方は、市場によって違います。
日本株を買うなら、見るのは東京証券取引所の33業種分類です。
水産・農林業から始まって、建設業、化学、医薬品、機械、電気機器、陸運業、銀行業、不動産業、サービス業まで、33の区分に分かれています。

証券会社の銘柄ページを開くと、会社名の近くにこの業種名が書いてあります。
自分で調べにいく必要はなく、買うときに目に入る情報です。

米国株やS&P500の解説でよく出てくる11セクターは、これとは別の分類です。
GICSという国際的な基準で、情報技術・金融・ヘルスケア・一般消費財・コミュニケーション・生活必需品・エネルギー・資本財・素材・不動産・公益事業の11区分になります。

どちらが正しいという話ではなく、対象の市場に合わせて使う分類が変わるだけです。
日本株を中心に持っているなら、11セクターの方を覚える必要はほとんどありません。

チャッピー
チャッピー

米国の11セクターの方がよく見かける気がするけど、それは覚えんでいいん?

まぐ
まぐ

全世界株のインデックスを持ってるなら、組み入れ銘柄がどう分かれてるかの参考にはなるな。
ただ日本株を1社ずつ買うときに使う分類とは別物やから、混ぜて考えん方がいい。
こっちで業種の偏りを見るときは、東証の33業種の方で数えてるで。

景気に振れやすい業種、振れにくい業種

業種の性格を分けるとき、いちばんよく使われるのが景気との関係です。
景気が良くなると業績が伸び、悪くなると落ち込みやすい業種を景気敏感株(シクリカル株)、景気にあまり左右されない業種をディフェンシブ株と呼びます。

あてはまりやすい業種業績の振れ方
景気敏感鉄鋼・海運・化学・機械・自動車・銀行・不動産景気の波で大きく動く
ディフェンシブ食品・医薬品・電力・ガス・鉄道・通信景気が悪くても落ち込みにくい

配当を受け取る立場から見ると、この違いは配当そのものの振れ方に出てきます。
景気敏感な業種は、業績が伸びた年に大きく増配することがある代わりに、落ち込んだ年には減配も起きます。
ディフェンシブな業種は、その両方が起きにくくなります。

それぞれの特徴は個別の記事に分けて書きました。
景気敏感株はこちら、ディフェンシブ株はこちらです。

セクターローテーションはやっていない

セクター投資の話でかならず出てくるのが、セクターローテーションという考え方です。
景気の局面によって、値上がりを引っぱる業種が入れ替わっていく、という整理になります。

景気サイクルとセクターローテーションの関係図。拡大初期は情報技術・金融、拡大中期は一般消費財・資本財、拡大終期はエネルギー・素材、後退期は生活必需品・ヘルスケアが主導する
よく紹介されるパターン。
知っておく分にはいいが、ここではこの順番に乗り換える運用はしていない

この整理そのものは、知識として知っておいて損はありません。
ただ、実際に業種を乗り換えていく運用はしていません。
理由は3つあります。

1つ目は、いまがどの局面かは、あとになってからしか分からないことです。
景気の山や谷が正式に判定されるのは、そこを通り過ぎてしばらく経ってからです。
図のとおりに動くとしても、いまどこにいるかが分からなければ使えません。

2つ目は、乗り換えには売るという動作が必要なことです。
配当を受け取るために買っているので、売った時点でその配当は止まります。
次の業種が本当に伸びるかどうか分からないまま、確実に入っていた配当を手放すことになります。

3つ目は、当たったかどうかを確かめる方法がないことです。
乗り換えなかった場合の結果は残らないので、判断が良かったのか、たまたま相場が上がっただけなのかを分けられません。

まぐ
まぐ

景気の流れくらいは読めそうな気もするけどな。

チャッピー
チャッピー

流れを読むところまでは、たぶん誰でもある程度できるんよ。
しんどいのはそのあとで、いつ乗り換えるかを毎回決めなあかん。
それを何年も続けて、しかも配当を止めてまでやる価値があるかというと、こっちでは合わへんかった。

ここでの使い方|偏っていないかを確かめる物差し

業種を選んで賭けないなら、セクターは何に使うのか。
使っているのは、持っている銘柄が同じ方向に寄っていないかを確かめるときです。

30銘柄に分けていても、そのうち10社が銀行なら、金利がひとつ動くだけで10社が同じ方向に動きます。
銘柄の数だけ見ていると、この寄りに気づけません。
業種で数え直して初めて見えてきます。

そして数えるときに使うのは、投資した金額ではなく配当の金額です。
減配が起きたときに減るのは配当なので、痛みが出る場所で数えた方が実態に合います。
1銘柄あたりの配当が全体の5%を超えないようにしているのも同じ考え方で、詳しくは買い増す銘柄と株数はこう決めるに書きました。

実録ポートフォリオ30銘柄の業種別配当構成比。機械7.6%を最大に17業種へ分かれ、すべて10%以下に収まっている
実録の30銘柄を業種別の配当で割った実データ。
1業種10%を目安にしている

実際に実録の30万円ポートフォリオを業種で割ってみると、33業種のうち17業種に分かれていました。
いちばん多い機械でも年間配当の7.6%で、10%を超えている業種はありません。
業種を意識して選んだわけではなく、利回りと財務で30銘柄まで広げた結果としてこうなっています。

1業種10%という線は、きっちり守る決まりではなく目安です。
買い増していけば比率は動きますし、少しはみ出したから売る、ということもしていません。
買い足すときに、どこが薄いかを見るための基準という位置づけです。

チャッピー
チャッピー

景気敏感な業種が多めになってても、そのままでいいん?

まぐ
まぐ

いいと思ってる。
利回りで並べて上から見ていくと、景気敏感な業種は自然と入ってくるんよ。
そこを避けようとすると、今度は特定の業種にかたまってしまう。
1業種の配当が全体の1割を超えてへんかったら、そのままでいいという見方をしてるで。

業種が違っても、同じ波を受けることがある

業種で数えれば偏りが見える、と書きましたが、これには限界もあります。
業種が分かれていても、需要のもとが同じという場合があるからです。

実録の30銘柄で、実際にそうなっている場所があります。
タイヤの会社2社はゴム製品、自動車部品の会社2社は輸送用機器、カー用品店は卸売業に分類されていて、業種としては3つに分かれています。
ただ、どの会社も売り上げのもとをたどると自動車です。

この5社を合わせると、年間配当の15.8%になります。
業種別の数字はどれも10%以下に収まっているのに、需要のもとでまとめると目安を超えているということです。

これは物差しが役に立たないという話ではなく、業種だけを見ていると取りこぼす場所がある、という話です。
気づいたところで売るわけではありませんが、次に買い足すときは自動車まわり以外から選ぶ、という材料にはなります。

チャッピー
チャッピー

そこまで細かく見なあかんの?

まぐ
まぐ

毎回やらんでもいいと思うで。
ただ買い足すときに1回数えといたら、次にどこを厚くするか迷わんで済む。
業種の表は入口で、そこから「これとこれは似た商売やな」と見直すのが本番やな。

セクターETFという選択肢をどう考えるか

業種をまとめて買う方法として、セクターETFという商品があります。
情報技術だけ、ヘルスケアだけ、というふうに1つの業種の会社を詰め合わせた投資信託の一種です。

使っていないので、勧める立場にはありません。
理由は3つあります。

1つ目は、どの会社から配当をもらうかを選べないことです。
業種を選ぶところまでは自分で決められますが、その中の1社ずつを見ることはできません。
配当を続けられそうかを1社ずつ確かめる、という持ち方とは噛み合いません。

2つ目は、業種で1本にまとめると、その業種の事情をまるごとかぶってしまうことです。
分けているつもりが、実際には1つの方向に寄せている形になります。

3つ目は、持っているあいだずっと信託報酬がかかることです。
個別株を持つ場合、この費用はかかりません。
考え方は信託報酬とはに書いています。

少額から1社ずつ買いたい場合は、単元未満株という方法があります。
1株から買えるので、業種をまたいで薄く広げるにはこちらの方が合います。

なお、これは増やす側で持っている全世界株のインデックスとは別の話です。
そちらは市場全体を丸ごと持つためのもので、業種を選んでいるわけではありません。
考え方の分け方はインデックスと高配当株の二刀流に整理しました。

まぐ
まぐ

特定の業種が伸びそうやと思ったときは、どうしてるん?

チャッピー
チャッピー

その業種の会社が配当の条件に合うなら、普通に候補に入るな。
ただ「伸びそうやから厚くする」という買い方はしてへん。
伸びると思った理由が外れたときに、売るか持つかで毎回悩むことになるからな。

まぐのメモ

銘柄を選ぶとき、業種から入ることはありません。
利回りと財務の採点で候補を並べて、上から見ていく順番です。
業種を見るのは、そこから実際に買う株数を決める段階になります。

順番が逆になると、選ぶ基準がぶれてしまいます。
この業種を厚くしたいから、と考え始めると、条件を満たしていない会社を入れる理由が出てきてしまう。
業種は選ぶ基準ではなく、選んだあとの確認という置き方にしています。

採点のやり方は高配当株ランキングの作り方にまとめてあります。
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よくある質問(FAQ)

Q1. セクターは何業種くらいに分けたらいいですか?

数を先に決めてはいへんな。
1業種からの配当が全体の1割を超えてへんか、という見方をしてるだけや。
30銘柄まで広げたら結果として17業種に分かれてたけど、これは狙って作った数字やないで。

Q2. 景気敏感な業種は避けた方がいいですか?

避けんでいいと思ってる。
配当が安定してる会社だけを探すと、商社や通信あたりにかたまってしまうんよ。
業種を広げる方を優先したら、景気敏感なところも自然と入ってくる。
⚠️ただし1業種に寄りすぎてへんかは、そのつど数えた方がいいな。

Q3. 景気の局面に合わせて業種を入れ替えるのはどうですか?

こっちではやってへんな。
いまどの局面かは通り過ぎてからしか分からへんし、入れ替えるには売らなあかん。
売った時点で配当は止まるから、確実に入ってるものを手放して、当たるかどうか分からん方に賭ける形になるんよ。

Q4. 日本株の業種はどこで確認できますか?

証券会社の銘柄ページに書いてあるで。
会社名の近くに「機械」「化学」みたいな東証の業種名が出てる。
わざわざ調べにいかんでも、買うときの画面で目に入るはずや。

まとめ

セクターは、株式市場を業種で分けた区分です。
日本株なら東証の33業種、米国株ならGICSの11セクターが標準で、景気に振れやすい業種と振れにくい業種という分け方もあります。

一般には、景気の局面を読んで業種を乗り換える道具として紹介されます。
ここでその使い方をしていないのは、局面が事後にしか分からないことと、乗り換えるたびに配当が止まるからです。

代わりに使っているのが、配当がどの業種から来ているかを数える使い方です。
金額ではなく配当で割って、1業種が全体の1割を超えていないかを見る。
業種は買う理由ではなく、買ったあとの偏りを確かめる物差しという位置づけです。

その物差しにも死角があって、業種が分かれていても需要のもとが同じことがあります。
実録の30銘柄でも、自動車まわりの5社が3つの業種にまたがって15.8%になっていました。
表を作って終わりにせず、そこから似た商売がないかを見直すところまでが確認です。

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