失業率は、働く意思があって仕事を探している人のうち、仕事に就けていない人の割合です。
景気の状態を測る代表的な数字のひとつで、毎月発表されます。
投資の話で押さえておきたいのは、失業率は低ければ良いとはかぎらないという点です。
低すぎると賃金が上がり、それが物価に効いて、中央銀行が金利を上げる理由になります。
この記事では、失業率が何を数えているか、統計に入らない人がいること、そして良い数字が株価には悪い材料になる仕組みを整理します。
📝 この記事でわかること
✅ 失業率=仕事を探しているのに就けていない人の割合
✅ 仕事を探していない人は、そもそも分母に入らない
✅ 景気が良くなると下がり、悪くなると上がる
✅ ただし低すぎると賃金と物価が上がりやすくなる
✅ だから「良い数字」が株価には悪材料になることがある
✅ ここでは発表日を追いかけていない


失業率って、仕事してへん人の割合やんな?





ちょっとちがうんよ。
「探してるのに就けてない人」の割合や。
探すのをやめた人は、そもそも数に入ってへん。
失業率が数えているのは誰か
失業率は「働いていない人の割合」ではありません。
仕事を探しているのに就けていない人の割合です。
分母になるのは、働いている人と、仕事を探している人の合計です。
学生や、探すのをやめた人は、この分母に入りません。
だから、あきらめた人が増えると失業率は下がることがあります。
| 数に入るか | |
|---|---|
| 働いている人 | 分母に入る(就業者) |
| 仕事を探している人 | 分母に入る(完全失業者) |
| 探すのをやめた人 | 入らない |
| 学生・専業主婦(主夫)で求職していない人 | 入らない |
この仕組みを知らないと、数字を読み違えます。
失業率が下がったから雇用が良くなった、とはかぎりません。
探す人自体が減っただけ、ということもあるからです。
だから、働いている人の数がどう動いたかも合わせて見る必要があります。
景気とは逆に動くのが基本
失業率は、景気が良くなると下がり、悪くなると上がります。
会社が人を増やすか減らすかが、そのまま出るからです。


図を見ると、米国と日本で振れ方がかなり違います。
米国は景気が悪くなると一気に上がり、良くなると下がります。
日本は上下の幅が小さく、動きも遅いのが特徴です。
これは雇用の慣行の違いから来ています。
米国は業績が悪くなると人を減らしやすく、日本は雇用を維持したまま残業や賞与で調整することが多いためです。
だから日本の失業率は、景気の変化を映すのに時間がかかります。
失業率が低すぎても、株価には逆風になる
ここが、この指標のいちばん分かりにくいところです。
失業率が下がりすぎると、株価にはマイナスに働くことがあります。
仕組みはこうです。
働きたい人がほとんど仕事に就いている状態になると、会社は人を集めるために賃金を上げなければならなくなります。
賃金が上がれば、それは物価に転嫁されます。
物価が上がりすぎると、中央銀行は金利を上げます。
だから「雇用が強すぎる」という数字は、利上げが近いという読み方をされます。
良い数字なのに株価が下がるのは、この経路があるからです。
逆に、失業率が上がりすぎるのも困ります。
景気が悪くなっている証拠なので、会社の利益も落ちるからです。
熱すぎず冷たすぎない状態がいちばん歓迎される、という言い方がされるのはこのためです。





良い数字が悪材料になるって、ややこしいな。





はじめは混乱するとこやな。
ただ、失業率そのものを見てるんやなくて、その先の金利を見てると考えたら分かりやすい。
雇用が強い→賃金が上がる→物価に効く→金利が上がる、という順番や。





日本の失業率が低いのは、単純に良いことなんかな。





そこも一段ほぐしたほうがええな。
日本は仕事を減らさずに残業や賞与で調整することが多いからな。
数字が低いのと、待遇が良いのは別の話になることがある。
注目度は日本と米国で大きく違う
同じ失業率でも、市場の反応は日本と米国でまったく違います。
米国の雇用に関する統計は、毎月いちばん注目される指標のひとつです。
理由は、米国の中央銀行が物価の安定と雇用の両方を目標に置いているからです。
雇用の数字が、そのまま金利の判断につながります。
だから発表の直後に株価も為替も大きく動きます。
日本の失業率は、そこまで大きく反応しません。
振れ幅が小さいうえ、動きも遅いので、サプライズになりにくいためです。
日本で注目されるのは、むしろ物価の統計のほうです。
発表日を追いかけない
米国の雇用統計は発表日が決まっていて、事前に分かります。
その日に合わせて構えるという使い方もありますが、ここではしていません。
理由はCPIの記事に書いたのと同じです。
反応しているのは数字そのものではなく、予想とのずれだからです。
予想を当てるのではなく、みんなの予想とのずれを当てる必要があります。
それに、1か月分の雇用の数字で持ち方を変えることはありません。
受け取り続けるつもりで持っている以上、その月の数字が予想より強かったからといって、やることは変わらないからです。
そのうえで、流れとしては見ています。
雇用が強い状態が続いているなら金利は上がりやすく、金利が上がれば、利益が先にある会社ほど評価が下がります。
その仕組みは金利の記事に図で書きました。





雇用統計の日、身構えたりせえへんの?





してへんな。
その日に売り買いするつもりがないなら、身構える意味がない。
動いたことは後から分かるし、それで十分や。





米国の指標を、日本株を持ってる人が見る意味はあるん?





あると思う。
米国の金利が動いたら為替に効くし、翌朝の日本株にも来るからな。
ただ、それは後から確かめる話や。
先回りするために見てるわけやない。
まとめ|低ければ良い、ではない
失業率は、仕事を探しているのに就けていない人の割合です。
探すのをやめた人は数に入らないので、下がったから良いとはかぎりません。
そして低すぎると賃金と物価が上がり、金利を押し上げる方向に働きます。
この記事のまとめ
・失業率=仕事を探しているのに就けていない人の割合
・探すのをやめた人は分母に入らない
・景気が良くなると下がり、悪くなると上がる
・米国は振れ幅が大きく、日本は小さくて動きも遅い
・低すぎると賃金が上がり、物価を通じて金利に効く
・だから「良い数字」が株価には悪材料になることがある
・ここでは発表日を追いかけていない
まぐのメモ
失業率でいちばん知っといてよかったのは、「探すのをやめた人は数に入らへん」ということやな。
下がったから雇用が良くなった、とはかぎらへん。
働いてる人の数がどう動いたかも合わせて見んと、読み違える。
「良い数字が悪材料になる」のも、はじめは分からへんかった。
失業率そのものやなくて、その先の金利を見てるからやな。
雇用が強い→賃金が上がる→物価に効く→金利が上がる、という順番や。
そこが分かると、ニュースの見出しに振り回されんで済む。
発表日は追いかけてへん。
その日に売り買いするつもりがないなら、身構える意味がないからな。
見てるのは流れのほうや。
雇用が強い状態が続いてるなら、金利は上がりやすい。
それくらいで足りてる。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 失業率が下がれば景気は良いのですか?
だいたいはそうやけど、そうとは限らへん。
探すのをやめた人が増えても、分母が減るぶん失業率は下がるからな。
働いてる人の数が増えてるかどうかも合わせて見んと分からへん。
数字ひとつでは判断できひん指標やと思っといたらええ。
Q2. なぜ雇用が強いと株価が下がることがあるのですか?
その先の金利を見てるからやな。
雇用が強い→賃金が上がる→物価に効く→中央銀行が金利を上げる、という順番や。
金利が上がると、利益が先にある会社ほど評価が下がる。
失業率そのものやなくて、その2段先を見てると考えたら分かりやすい。
Q3. 雇用統計の発表に合わせて売買すべきですか?
ここではしてへんな。
動いてるのは予想とのずれやから、「みんなの予想とのずれ」を当てなあかん。
それに、1か月分の数字で持ち方を変えるつもりもない。
流れとして「雇用が強い状態が続いてるか」を見るくらいで足りてる。
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