EPS(1株当たり利益)とは?計算方法と配当との関係をわかりやすく解説

EPS(1株あたり利益)とは?計算方法と投資への活用を解説 お金の言葉
本ページには広告(アフィリエイトリンク)が含まれています。

EPS(1株当たり利益)は、会社が稼いだ純利益を発行済株式数で割った数字です。
1株を持っている人の取り分が、1年でいくら増えたのかを表しています。
配当はこの利益の中から支払われるので、EPSが伸びていない会社は、配当を増やす原資も持っていないことになります。

このブログで高配当株を20点満点で採点するとき、8つの項目のうち2倍の重みを置いているのは「1株配当」と「EPS」の2つだけです。
この記事では、EPSの計算方法から、なぜそこまで重く見ているのか、どこで数字が歪むのかまでをまとめています。

📝 この記事でわかること

✅ EPSの計算方法と、1株あたりで見る意味
✅ EPSが増える理由は2つある(利益が増えた/株数が減った)
✅ 単年ではなく推移で見る──3つの型
✅ 20点採点でEPSを2倍の重みにしている理由
✅ EPSが歪む場面と、そのときに見る数字

EPSとは? 1株あたりいくら稼いだかを表す数字

EPSは Earnings Per Share の略で、日本語では1株当たり利益といいます。
計算式は「当期純利益 ÷ 発行済株式数」で、単位は円です。

たとえば純利益が100億円で、発行済株式数が1億株の会社なら、EPSは100円になります。
この会社の株を1株持っていれば、その1年で100円分の利益が自分に帰属した、という意味です。
実際に100円が手元に届くわけではありません。
そのうち何割を配当として出すかを決めるのが配当性向で、残りは会社の中に留保されます。

まぐ
まぐ

純利益を株数で割るだけなら、会社の規模が違っても比べられるってことか。

チャッピー
チャッピー

そこがEPSの便利なところやね。
純利益100億円の会社と1兆円の会社を並べても大小しか分からへんけど、1株あたりに直せば、自分が持っている1株がどれだけ稼いだかで揃う。
ただし株数は会社ごとにバラバラやから、EPSの絶対値を会社どうしで比べても意味はないで。

EPSの絶対値が大きいか小さいかは、発行済株式数の多寡で決まってしまいます。
同じ利益でも、株数を10分の1にすればEPSは10倍になります。
だからEPSは他社と比べる数字ではなく、同じ会社の推移を追う数字だと考えたほうがいい。

EPSの基本

計算式:当期純利益 ÷ 発行済株式数
単位:円
意味:1株に帰属する1年ぶんの利益
使い方:他社比較ではなく、同じ会社の時系列で見る
関連:配当性向(配当 ÷ EPS)・PER(株価 ÷ EPS)

EPSが増える理由は2つある

EPSが去年より増えていたとき、その理由は2通りあります。
分子である純利益が増えたか、分母である株数が減ったかです。
同じ「EPS増加」と表示されていても、中身はまったく違います。

純利益が増えてEPSが伸びたなら、会社の稼ぐ力そのものが伸びています。
一方、株数が減ってEPSが伸びた場合は、会社が自社株買いをして市場に出回る株を減らした結果です。
稼いだ額は変わっていなくても、分け合う人数が減れば1株あたりは増えます。

まぐ
まぐ

自社株買いでEPSが上がるのは、ズルってわけやないんよな?

チャッピー
チャッピー

ズルやないで。
余った現金を株主に返す方法のひとつやから、配当と並ぶ株主還元として扱われる。
ただ、それは稼ぐ力が伸びた話とはちがうというだけや。
利益が横ばいのまま自社株買いだけでEPSを押し上げてる会社と、利益そのものが伸びてる会社は、区別して見たほうがええね。

見分ける方法は単純で、EPSと一緒に純利益そのものの推移も見ればいい。
純利益が伸びていないのにEPSだけが伸びているなら、株数が減っています。
逆に株式分割をした年は、株数が一気に増えるのでEPSは見かけ上大きく下がります。
分割の前後をまたいでEPSを比べると、業績が急落したように見えてしまいます。

株数が動く2つの場面

自社株買いとは? 株主還元の仕組みをわかりやすく解説
株式分割とは? 株価と投資家へのメリットをわかりやすく解説

EPSは単年ではなく推移で見る──3つの型

EPSは1年ぶんの数字なので、その年に何が起きたかで簡単に上下します。
1年の数字を見て良し悪しを決めるより、5年から10年の推移を並べたほうが、その会社の稼ぐ力の性格が見えてきます。

EPS推移の3パターン比較(成長持続型・安定増配型・景気敏感型)
EPSの推移には大きく3つの型がある(2015年=100として指数化)

上の図は、EPSの動き方を3つの型に分けたものです。
成長持続型は年率10%を超えるペースで伸び続け、10年で数倍になります。
安定増配型は伸び幅こそ小さいが、景気が悪い年でも大きく崩れません。
景気敏感型は上下の振れが大きく、落ち込んだ年と好調な年とでEPSが2倍以上ちがうこともあります。

高配当株を長く持つ立場で見ると、いちばん扱いやすいのは真ん中の安定増配型です。
伸び方は地味でも、落ち込んだ年にEPSが配当を下回りにくいので、減配の心配をしながら持たなくて済みます。

チャッピー
チャッピー

景気敏感型は最初から避けてるん?

まぐ
まぐ

避けてはいない。
ポートフォリオの中に入っている。
ただ、そういう銘柄はいい年のEPSを基準にして配当を評価しないようにしている。
直近1年だけを見ると配当性向が低く見えて余裕があるように映るけど、10年の中でいちばん悪かった年のEPSと今の配当を並べたら、実は逆転していた、ということが起きる。

景気敏感業種の銘柄を採点するときは、直近のEPSではなく10年分の推移を見て、その中で最も低かった年の水準を基準に置いています。
そこと今の1株配当を比べて、不況期でも配当を出せる形かどうかを確かめます。

20点採点でEPSを2倍の重みにしている理由

このブログでは高配当株を8項目・20点満点で採点しています。
8項目のうち、2倍の重み(◎4点/○2点/△0点)を置いているのは「1株配当」と「EPS」の2つだけで、残りの6項目は1倍(◎2点/○1点/△0点)です。

採点項目重み見ているもの
① 1株配当×2実際に受け取る額そのもの
③ EPS×2その配当を出すための原資
② 売上高×1事業の規模の伸び
④ 営業利益率×1本業で残る割合
⑤ 自己資本比率×1財務の余裕
⑥ 営業キャッシュフロー×1実際に入ってきた現金
⑦ 現金等×1手元に持っている現金
⑧ 配当性向×1配当が利益に対して重すぎないか

EPSを2倍にしている理由は2つあります。
1つめは、配当の原資がEPSだからです。
配当は利益の中から出すものなので、EPSが伸びていない会社が配当だけを増やし続けると、いずれ配当性向が100%に近づいて限界がくる。
1株配当の伸びが本物かどうかは、EPSの伸びを並べて初めて確かめられます。

2つめは、EPSが株数の増減も同時に映すからです。
純利益だけを見ていると、増資で株数が増えて1株あたりの取り分が薄まったことに気づけません。
1株あたりに直したEPSなら、その希薄化も含めて数字に出ます。
配当も1株あたりで受け取るものなので、同じ「1株あたり」の土俵に揃えたほうが素直に比べられます。

チャッピー
チャッピー

①の1株配当と③のEPS、両方2倍にしたら二重に効きすぎへん?

まぐ
まぐ

そこは意図してそうしてる。
高配当株の投資で見たいのは、配当が今いくらかと、それが続くかどうかの2つやから、その2つに重みが寄るのは自然やと考えてる。
残りの6項目は、その2つが嘘やないかを確かめる材料という位置づけやね。

採点まわりの記事

配当性向とは? 目安と見方をわかりやすく解説
自己資本比率とは? 目安と見方を解説【財務安全性の指標】
営業キャッシュフローとは? 見方と重要性をわかりやすく解説

予想EPSと実績EPSのちがい

証券会社の銘柄ページに並んでいるEPSには、実績と予想の2種類があります。
実績EPSは、すでに終わった期の確定した数字です。
予想EPSは、会社が自分で出した今期の見通し(会社予想)か、証券会社のアナリストが出した見通しを使っています。

株価は先の利益を織り込んで動くので、ニュースや株価指標の欄で使われているのはたいてい予想EPSのほうです。
同じ銘柄でも、実績で計算したPERと予想で計算したPERは値がちがう。
数字を比べるときは、どちらのEPSを使っているのかを揃えないと話が噛み合いません。

まぐ
まぐ

予想って、外れることもあるやんな。

チャッピー
チャッピー

外れるで。
会社予想は期の途中で上方修正も下方修正もされる。
業績予想の修正が出た日は株価がよく動くのは、織り込んでいた前提そのものが変わるからやね。
予想EPSは確定した事実やなくて、今の時点での見込みや、というのは頭の隅に置いておいたほうがええよ。

10年分の推移を見るときに使うのは実績EPSです。
予想は途中で動くうえ、過去のどの時点の予想を使うかで結果が変わってしまいます。
確定した数字だけを並べたほうが、会社の稼ぐ力の変化は素直に読めます。

予想の扱いについて

業績予想とは? 会社予想とアナリスト予想の違いを解説

EPSが歪む場面と、そのときに見る数字

EPSの分子は当期純利益で、これは本業の儲けだけでできているわけではありません。
土地や保有株を売った利益、工場を減損した損失、災害や訴訟にともなう費用──こうした一度きりの要因も全部入ってくる。
だから本業が変わっていなくても、EPSは大きく跳ねたり沈んだりします。

たとえば保有していた資産を売って大きな売却益が出た年は、純利益が膨らんでEPSも上がります。
その年だけを見れば絶好調に見えるが、翌年に同じことは起きません。
そのEPSを基準に配当性向を計算すると、実力より余裕があるように見えてしまいます。

チャッピー
チャッピー

そういう年って、どう扱ってるん?

まぐ
まぐ

まず10年の推移に並べる。
1年だけポンと飛び出している年があれば、それは一度きりの要因を疑う。
そのうえで、営業キャッシュフローが同じ形で動いているかを確かめる
純利益だけが跳ねて営業キャッシュフローが横ばいなら、帳簿の上で増えただけで、現金は入ってきていないということになる。

配当は現金で支払うものなので、最後に効いてくるのは現金のほうです。
EPSと営業キャッシュフローの動きが揃っていれば、その利益は現金の裏づけがあります。
揃っていない年が続くようなら、EPSの数字ほどには余裕がないと見ておきます。

EPSの4コマ漫画

まとめ|EPSは配当の原資が育っているかを見る数字

EPSは純利益を株数で割っただけの単純な数字だが、高配当株を長く持つ立場からは、配当の原資が育っているかを見る指標になります。
1株配当が伸びていても、EPSが伸びていなければその増配は配当性向を上げることで作られたもので、いつか止まる。

この記事のポイント

EPS=当期純利益 ÷ 発行済株式数。
1株に帰属する利益
絶対値の他社比較には意味がありません。
同じ会社の推移で見る
EPSが増える理由は2つ──利益が増えた/株数が減った
20点採点では①1株配当と③EPSだけを2倍の重みにしている
特別な損益で歪むので、営業キャッシュフローと並べて確かめる

まぐのメモ

月次のランキングを作るとき、いちばん時間をかけているのが1株配当とEPSの10年推移を並べる作業です。
この2つが同じ方向に伸びている会社は、増配の理由が説明できます。
配当だけが伸びてEPSが横ばいの会社は、その時点で採点が伸びない形になっています。

配当利回りだけで銘柄を並べると上位に来るのは、たいてい株価が下がった会社か、配当性向を目一杯まで上げた会社です。
EPSを2倍の重みで採点に入れているのは、その2つを上位から外すためでもあります。

📊 結局どの高配当株を買えばいい?毎月のランキングがあります

「高配当株に興味はあるけど、結局どれを買えばいいの?」——その入口になるのが、まぐが東証の全上場企業を毎月スクリーニングし、利回り×財務スコアで並べた note「月次・高配当株ランキング」 です。

📅 毎月、最新号を更新中。
スクリーニング条件から通過銘柄、スコア上位のランキング、全利回りランキングまで、すべて無料で読めます。
過去の号もマガジンにまとめてあるので、月ごとの入れ替わりも追えます。

▶ まぐのnoteで最新ランキングを見る

■ブログのノウハウ、本にまとめたで📕(二部作)

まぐの書籍がKindleで発売中や!
第1弾『10年データで選ぶ高配当株入門』は銘柄の選び方編。高利回りの罠の見抜き方から、8つの物差し・10年データでの採点手順まで、このブログの手法を最初から順番に学べるで。

第2弾『10年データで組む高配当株ポートフォリオ』は組み方編。まぐが実際に現金30万円で30銘柄を買った実録をもとに、ポートフォリオの設計から発注・運用の作法までを1冊にしたで。

👆 画像をタップでAmazonへ(各500円・Kindle Unlimited読み放題対応)

📚 あわせて読みたい関連用語

PER(株価収益率)とは? 割安・割高の見方をわかりやすく解説
PBR(株価純資産倍率)とは? 1倍割れの意味をわかりやすく解説
ROE(自己資本利益率)とは? 目安と見方をわかりやすく解説
ROA(総資産利益率)とは? ROEとの違いをわかりやすく解説
自己資本比率とは? 目安と見方を解説【財務安全性の指標】
営業キャッシュフローとは? 見方と重要性をわかりやすく解説

よくある質問(FAQ)

Q1. EPSが高い会社ほど良い会社ですか?

EPSの絶対値は発行済株式数で決まるから、大小そのものには意味がないんよ。
株数が少ない会社はEPSが自然と大きくなるけど、それは会社の質とは関係ない話や。
見るべきは同じ会社の推移のほうやな。
5年から10年のあいだEPSが伸びてるか、落ち込んだ年にどこまで下がったかを確かめるとええで。

Q2. 予想EPSと実績EPS、どちらを見ればいいですか?

用途が違うんよ。
今の株価が割高か割安かという話に使われるのは予想EPSで、証券会社のPERもたいていこっちで計算されてる。
一方、会社の稼ぐ力が10年でどう変わったかを追うときは実績EPSを使うな。
予想は途中で修正されるから、過去の推移を並べる用途には向いてへん。

Q3. EPSが急に増えた年は、何を確かめればいいですか?

2つあるで。
1つは純利益そのものが増えてるかどうかや。
純利益が横ばいなら、EPSの増加は自社株買いで株数が減ったのが理由になる。
もう1つは営業キャッシュフローが同じように増えてるかどうかやな。
純利益だけが跳ねて現金が増えてへん場合は、資産の売却益みたいな一度きりの要因が入ってる可能性があるで。

関連記事

配当とは? 基本をわかりやすく解説
配当性向とは? 目安と見方をわかりやすく解説
フリーキャッシュフローとは? 意味をわかりやすく解説
株主還元とは? 配当・自社株買い・優待をわかりやすく解説
長期投資とは? メリットと考え方をわかりやすく解説

📈 この用語を使って実際の銘柄を見てみる?

magnikki.comでは、PER/PBR/配当利回り/自己資本比率/連続増配など、当サイトで解説してる用語を活用して10年データで高配当銘柄を徹底分析してます。

KDDI(9433)|24期連続増配・利回り3.08%
NTT(9432)|15期連続増配・利回り3.5%
アサヒGHD(2502)|18期連続増配・利回り3.4%
日本製鉄(5401)|PBR0.56・利回り4-5%
JT(2914)|配当利回り4%超え

■証券口座を開設するなら、SBI証券と楽天証券の2社が鉄板や!

【2社共通の強み】
・国内株売買手数料:0円(2023〜)
・NISA:両方フル対応、つみたて枠の商品数もほぼ同等
・クレカ積立:両方対応(SBI=三井住友/楽天=楽天カード)
・入金:即時入金・手数料無料

【選び方の目安】
・楽天経済圏(楽天カード/楽天市場/楽天モバイル)なら → 楽天証券
・三井住友カードやPonta/Vポイント派なら → SBI証券
・どっちも使ってないなら → SBI証券(業界最大手で品揃え広い)

どっちを選んでも「NISAで投資デビュー」の王道コースやで!

口座開設は無料・5〜10分で完了するで。

■投資・お金の感情、関西弁でLINEに乗せたいあなたへ📱

まぐ&チャッピーのLINEスタンプ第1弾「投資・お金関西弁40種」がLINE STOREで販売中や!
爆上げ・暴落・ナンピン・塩漬け・配当まで、投資家あるあるの感情をぜんぶ関西弁でカバーしてるで。

👆 画像をタップでLINE STOREへ(120円・40種)

タイトルとURLをコピーしました