ROA(総資産利益率)は、会社が持っている資産すべてに対してどれだけ利益を出したかを表す数字です。
計算式は「当期純利益 ÷ 総資産」で、単位は%になります。
総資産1,000億円の会社が40億円の純利益を出せば、ROAは4%です。
ROEとよく並べて語られるが、違いは分母だけです。
ROEは株主の元手(自己資本)で割り、ROAは借入も含めた資産全体で割る。
この違いのおかげで、2つを並べるとその会社が借入をどれだけ使って事業を回しているかが見えてきます。
📝 この記事でわかること
✅ ROAの計算式と、ROEとの違いは分母だけという点
✅ 同じROE10%でも、ROAはまったく違う値になる
✅ ROEとROAの差は、自己資本比率で決まっている
✅ 高配当株の採点にROAを入れていない理由
✅ 業種によってROAの水準が違う理由
ROAとは? 資産全体でどれだけ稼いだか
ROAは Return On Assets の略で、日本語では総資産利益率といいます。
分母の総資産は、会社が事業に使っているものすべての合計です。
工場や店舗などの設備、在庫、売掛金、手元の現金まで含まれる。
その資産が株主のお金で買われたものか、銀行から借りたお金で買われたものかは、ROAでは区別しません。
資産の出どころを問わず、手元にある道具全部を使って何%の利益を作ったかを見ています。

ROEが株主目線の数字やとしたら、ROAは会社目線ってこと?





そう言うと分かりやすいね。
ROEは「出したお金に対していくら返ってきたか」やから株主の目線。
ROAはお金の出どころを問わずに、事業の効率だけを見てるから会社の目線や。
だから借金をどれだけ使ってても、ROAの数字は膨らまへん。
| ROE | ROA | |
|---|---|---|
| 計算式 | 純利益 ÷ 自己資本 | 純利益 ÷ 総資産 |
| 分母に含むもの | 株主の元手だけ | 借入も含めた資産すべて |
| 見ている目線 | 株主から見た利回り | 事業そのものの効率 |
| 借入を増やすと | 上がる | ほとんど変わらない |
同じROE10%でも、ROAはまったく違う
ROEとROAの関係は、自己資本比率で決まっています。
ROEをROAで割ると、総資産を自己資本で割った値になります。
これは自己資本比率の逆数です。
自己資本比率が40%なら、ROEはROAの2.5倍になります。
この関係を使うと、同じROEの会社でも中身がまったく違うことが分かります。
ROEが10%の会社を、自己資本比率別に並べたものが次の表です。
| 自己資本比率 | ROE | ROA | 資産の作り |
|---|---|---|---|
| 80% | 10% | 8% | ほとんど自前の資金で回している |
| 40% | 10% | 4% | 半分強を自前の資金で回している |
| 20% | 10% | 2% | 大部分を借入で回している |
いちばん下の会社は、資産全体では2%しか利益を生んでいません。
それでもROEが10%に見えるのは、分母である自己資本が総資産の5分の1しかないからです。
借入で膨らませた資産の上に乗った利益が、小さな自己資本に対する利回りとして5倍に拡大されています。





この3社、ROEだけ見てたら区別つかへんな。





つかへん。
だからROEを条件に使うときは必ず自己資本比率を並べるようにしている。
ROEとROAの差がどこから来ているかは、結局その1つの数字で決まっているからね。
借入を使うこと自体が悪いわけではありません。
設備や物件を持つ商売では、借入なしに事業を大きくすることはできません。
ただ、景気が悪くなって利益が減ったとき、借入の返済と利息は利益に関係なく発生します。
配当を長く受け取りたい立場から見ると、その差が減配の起きやすさに効いてくる。
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▶ ROE(自己資本利益率)とは? 目安と見方をわかりやすく解説
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高配当株の採点にROAを入れていない理由
このブログでは、候補を絞り込む段階でROEと自己資本比率を条件にし、そのあと8項目・20点満点で採点しています。
ROAはどちらにも入れていません。
理由は前の章の関係式そのものです。
ROEとROAの差は自己資本比率の逆数で決まっているので、ROEと自己資本比率の2つを見ていれば、ROAはその2つから計算できてしまいます。
同じ情報を3つめの条件として重ねても、候補の絞られ方は変わりません。





そしたら、ROAを見る意味はないってこと?





そうやなくて、自己資本比率のほうが先に立つというだけや。
ROAは割り算の結果やけど、自己資本比率はその会社がどれだけ借入に頼ってるかを直接示す数字やからね。
減配が起きるかどうかを考えるときに効いてくるのは、そっちのほうや。
とはいえROAが役に立たないわけではありません。
同じ業種の会社を横に並べたとき、資産の使い方がうまい会社とそうでない会社の差はROAに出ます。
採点の条件としては使わないが、業種の中で見比べるときの材料にはなります。
業種によってROAの水準が違う理由
ROAの水準は業種によってかなり違います。
分母が総資産なので、事業に大きな設備を必要とする業種ほど低く出ます。


電力や鉄道は発電所や線路といった巨大な設備を抱えるので、ROAは数%にとどまる。
一方、ソフトウェアのように大きな設備を持たない業種は、同じ利益額でも分母が小さいためROAが高く出ます。
これは経営の巧拙ではなく、事業の形の違いです。
電力会社とソフトウェア会社のROAを並べて優劣を言っても、設備をどれだけ必要とする商売かを言い換えているだけになります。
比べるなら同じ業種の中か、同じ会社の過去の水準とになります。





設備が要る商売ほど不利に見えてまう数字ってことか。





数字の上ではそう出るね。
ただその設備があるから他社が簡単に入ってこられへん、という面もある。
発電所も線路も、あとから同じものを作るのは現実的やない。
ROAが低いことと、事業として弱いことは別の話なんよ。
高配当株として名前が挙がる銘柄は、設備を多く持つ業種に偏りやすくなります。
ROAが低いという理由でそうした銘柄を外すと、候補が特定の業種に寄ってしまいます。
業種をまたいだ絶対値の比較を採点に持ち込まないのは、このためでもあります。

まとめ|ROAはROEから借金の効果を除いた数字
ROAは資産全体でどれだけ稼いだかを示す数字で、ROEとの違いは分母だけです。
借入を増やしてもROAはほとんど動かないので、2つを並べるとその会社が借入をどれだけ使っているかが見えてきます。
この記事のポイント
ROA=当期純利益 ÷ 総資産。
資産の出どころを問わない
ROEとの違いは分母だけ(自己資本か、総資産か)
ROE ÷ ROA は自己資本比率の逆数。
同じROE10%でもROAは4倍の差になる
20点採点にROAは入れていません。
ROEと自己資本比率で同じことが分かるため
業種で水準が違います。
設備を多く持つ業種ほど低く出る
まぐのメモ
採点に使う項目を増やしすぎないようにしています。
指標は互いに関係し合っているので、似た情報を持つものを重ねても、候補の絞られ方はほとんど変わりません。
そのわりに、毎月手を動かす量だけが増えます。
ROAを条件に入れていないのはその判断からで、ROEと自己資本比率の2つを見ていれば同じことが分かります。
指標を1つ足すたびに、翌月も同じ手順で回せるかを考える。
毎月同じ条件で並べられなくなった時点で、先月との比較ができなくなってしまいます。
資産を多く持つ業種の銘柄は、ROAが構造的に低くなります。
そこを弱さと読むと、電力やインフラのように配当を長く出してきた会社が候補から消えることになります。
業種ごとの形を数字の良し悪しと取り違えないことは、指標を見るときにいちばん気をつけている点です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. ROAは何%以上あればいいですか?
業種によって水準が違うから、共通の基準はないんよ。
電力や鉄道みたいに巨大な設備を抱える業種は数%にとどまるし、設備をほとんど持たへん業種やと10%を超えることもある。
これは経営の巧拙やなくて事業の形の違いやから、同じ業種の中か、その会社の過去の水準と比べるのが筋やな。
Q2. ROEとROA、どちらを見ればいいですか?
どっちか一方やなくて、差を見るんや。
ROEをROAで割った値は自己資本比率の逆数になるから、2つの差が大きいほど借入に頼って事業を回してることになる。
ROEが10%でもROAが2%やったら、自己資本比率は20%くらいや。
同じROEでも、ROAを並べたら中身の違いが見えてくるで。
Q3. ROAが低い会社は避けたほうがいいですか?
業種を確かめてからやな。
電力やインフラみたいに大きな設備が要る業種は、経営が健全でもROAは低く出る。
ROAが低いというだけで外してまうと、配当を長く出してきた業種が候補から丸ごと消えることになる。
同じ業種の他社と比べて低いかどうか、そこが確かめるところやで。
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