連続増配株とは、1株あたりの配当を毎年増やし続けている会社の株のことです。
何年続けば名乗れるという決まりはありませんが、日本ではおおむね10年以上、米国では25年以上を「配当貴族」、50年以上を「配当王」と呼ぶ言い方が定着しています。
よく似た言葉の累進配当は「減らさない」という約束で、据え置きも認められます。
連続増配は「毎年増やす」なので、1年でも据え置けば記録が途切れます。
約束と実績、という違いもあります。
累進配当は会社が掲げる方針ですが、連続増配は結果として積み上がった記録です。
この記事では、連続増配の数え方から、何十年も増やし続けられる会社に共通するもの、長く持つほど効いてくるイールド・オン・コスト、記録が途切れるときの見え方、そして30銘柄のポートフォリオのなかでこの指標をどう使っているかまでを整理します。
📝 この記事でわかること
✅ 連続増配の数え方(1株あたり配当・据え置きで途切れる)
✅ 何十年も増やし続けられる会社に共通する3つの条件
✅ 累進配当・高配当株との違いを表で整理
✅ 長く持つほど効くイールド・オン・コスト(試算つき)
✅ 記録が途切れるときと、30銘柄のなかでの使い方


毎年増やし続けるって、途中でリーマンショックもコロナもあったやんな。





そこがこの指標のおもろいところなんよ。
不況の年も配当を増やせたということは、その年も稼げてたということやからな。
増配の記録は、稼ぐ力が何回テストを通ったかの回数券みたいなもんやで。
連続増配株とは?「毎年増やす」の数え方
連続増配かどうかは、1株あたりの配当金(DPS)が前年を上回っているかで判定します。
配当の総額ではなく、1株あたりで見るのがポイントです。
総額が増えていても、増資などで株数が増えていれば1株あたりでは減ることがあるからです。
株式分割があった年は、分割の比率をそろえたうえで比べます。
たとえば1株を2株に分割すれば、1株あたりの配当は見かけ上そのままでは半分になりますが、これは減配ではありません。
各社のIRでも、分割を調整したあとの数字で連続年数を数えています。
据え置き(横ばい)の扱いには注意が必要です。
減配していなくても、前年と同額なら「毎年増やす」の条件を満たさないので、記録はそこで止まります。
1円でも増えていれば続き、1円も増えなければ終わる、という機械的な線引きです。
累進配当が据え置きを認めるのと、いちばん違うのがここです。
連続増配の数え方
・判定は1株あたり配当(DPS)が前年より増えたかどうか
・配当の総額ではなく1株あたりで見る
・株式分割があった年は分割調整後の数字で比べる
・据え置き(横ばい)でも記録は途切れる
・日本はおおむね10年以上、米国は25年以上で配当貴族、50年以上で配当王





据え置きでも途切れるんは、けっこう厳しい条件やな。





厳しいからこそ、続いてる会社の数が少ないんよ。
累進配当が「減らさへん」という約束なのに対して、連続増配は「増やし続けた」という実績や。
ハードルが高いぶん、通った回数に意味が出てくるわけやな。
なぜ何十年も増やし続けられるのか
長く増配を続けている会社には、共通するものがあります。
ひとつめは、景気が悪くなっても需要が大きくは減らない商品やサービスを扱っていること。
ふたつめは、原材料が値上がりしたときに価格へ転嫁できること。
みっつめは、不況の年でも赤字にならない財務の体力です。
とくに2つめの価格転嫁ができるかどうかは大きな差になります。
インフレの局面でコストだけが上がって売値を変えられない会社は、利益が細って増配どころではなくなります。
日用品や飲料、医薬品といった、値上げをしても買い続けてもらえる商品を持つ会社が連続増配の常連になりやすいのは、このためです。
裏返すと、シクリカル株と呼ばれる景気敏感な業種は連続増配を続けにくくなります。
鉄鋼・海運・自動車などは好況期の利益が大きいぶん、不況期の落ち込みも深くなります。
業績が上下すること自体が悪いわけではありませんが、「毎年増やす」という条件とは相性がよくありません。


日本で長く増配を続けている会社を並べると、日用品・リース・自動車部品商社・物流といった、派手さはないけれど安定して現金を稼ぐ業種が上位に来ます。
ただし連続年数は決算期や集計のしかたで前後しますし、毎年変わります。
気になった会社があれば、まとめ記事の順位ではなく各社のIRで最新の年数を確かめてください。
米国では、コカ・コーラやプロクター・アンド・ギャンブル、ジョンソン・エンド・ジョンソンのように、60年以上にわたって増配を続けている会社があります。
四半期ごとに配当を出す慣行があり、株主還元を経営の柱に据える文化が根づいていることが背景にあります。
一方で、長く配当王に数えられていた会社が事業の分社をきっかけに減配し、記録を終えた例もあります。





地味な業種ばっかり並ぶんやな。





地味やからこそ毎年の予定が立つんよ。
急に伸びる事業は、急にしぼむこともある。
連続増配の顔ぶれは「退屈やけど途切れへん」の見本市みたいなもんやな。
累進配当・高配当株との違い
配当まわりの言葉は似ていて紛らわしいので、いちど並べて整理します。
見ているものが「実績」なのか「約束」なのか「いまの利回り」なのかで分けると、頭に入りやすくなります。
| 見ているもの | 据え置き | 主な使いどころ | |
|---|---|---|---|
| 連続増配株 | 毎年増やしてきた実績 | 記録が途切れる | 稼ぐ力が続いてきたかを見る |
| 累進配当株 | 減らさないという会社の約束 | 認められる | 減配しにくさを見る |
| 高配当株 | いまの配当利回り | 関係しない | 受け取る金額の大きさを見る |
この3つは優劣ではなく、見ている角度の違いです。
連続増配は過去の成績表、累進配当はこれからの姿勢、高配当株はいま受け取れる金額。
どれかひとつで決めるのではなく、組み合わせて1社を見るための材料になります。
利回りが高い会社は増配余地が小さい、と言い切られることがありますが、そこまで単純でもありません。
利回りが高いのは株価が下がったからなのか、配当を厚くしているからなのかで意味が変わります。
そこを分けて見るために配当性向やEPSの推移を確認します。





3つとも配当の話やのに、見てるところがちがうんやな。





そう考えるとスッキリするやろ。
連続増配は過去の成績表、累進配当はこれからの姿勢、高配当はいま受け取れる金額。
1社を見るときに3枚とも並べるのが、いちばん外しにくいで。
長く持つほど効いてくる|買値に対する利回りが上がる
連続増配株の効き方がいちばんはっきり出るのは、長く持ったときです。
配当が増えても、自分が買った値段は変わりません。
そのため、買値に対する利回りだけが上がっていきます。
これをイールド・オン・コスト(取得価格に対する利回り)と呼びます。
たとえば利回り3%のときに買った株が、その後も毎年5%ずつ増配を続けたとします。
10年後には買値に対しておよそ4.9%、20年後にはおよそ8.0%を受け取っている計算になります。
株価がいくらになっていても、自分の買値に対する利回りは上がったままです。
| 経過年数 | 買値に対する利回り |
|---|---|
| 購入時 | 3.0% |
| 10年後 | 約4.9% |
| 20年後 | 約8.0% |
ただし、これは毎年5%の増配が20年続いた場合の計算です。
増配率は年によって変わりますし、途中で止まることもあります。
そうなる可能性がある前提の試算として見てください。
それでも、増配が続いたときに何が起きるかを知っておく価値はあります。





20年で買値の8%って、数字で見るとえげつないな。





しかもこれ、株価が上がったか下がったかとは関係なく起きるんよ。
見てるのは自分の買値やからな。
時間が味方になるタイプの効き方やから、途中で売らんことのほうが大事になるで。
注意点|記録はいつか途切れる
どれだけ長い記録も、いつかは終わります。
2020年には、長く配当を続けてきた海外の大手エネルギー企業が大幅な減配に踏み切りました。
分社や事業の再編をきっかけに配当を見直し、記録が終わる例もあります。
過去に何年続いたかは、これから先を保証するものではありません。
配当性向も一緒に見ておきます。
利益に対して配当を出しすぎている会社は、記録を守るために無理をしている可能性があります。
記録を続けること自体が目的になってしまうと、本来なら事業に回すべきお金まで配当に出てしまいます。
連続増配の年数が長い会社ほど、この点は確かめておきたいところです。
もうひとつ、人気が集まりやすいことも頭に置いておきます。
長く増配を続けてきた会社は評価が高くなりやすく、そのぶん買うときの株価も高くなりがちです。
配当を受け取れても株価の下落でそれ以上に目減りすることはあるので、記録の長さだけを理由に高いところで買わないようにします。
連続増配株で気をつけること
・記録はいつか途切れる(過去の年数は将来の保証ではない)
・記録を守るために無理をしていないか、配当性向で確かめる
・人気が集まって割高になりやすい
・分社や事業再編をきっかけに配当が見直されることがある
・1社に寄せず分散する





記録が途切れたら、すぐ売ったほうがええんかな。





機械的に売らんでもええと思うで。
減配なんか据え置きなんか、なんでそうなったんかで話がちがう。
稼ぐ力そのものが落ちてるんやったら考えるけど、一時的な要因なら持っといてええ場面も多いんよ。
増配株ETFという選択肢をどう考えるか
連続増配の銘柄を1社ずつ選ぶかわりに、増配株を集めたETFを1本買えばいいのでは、という考え方もあります。
手間がかからず自動で分散されるのは確かに利点です。
ただ、このサイトでは配当を受け取る側の資産としては積極的にはおすすめしていません。
理由は3つあります。
ひとつめは、組み入れが機械的に決まることです。
連続増配年数のような条件だけで採用されると、いまの稼ぐ力が細ってきた会社も入ってきます。
ふたつめは、持っているあいだ信託報酬がかかり続けること。
みっつめは、どの会社から配当をもらうかを自分で選べないことです。
連続増配という考え方は、まさに「どの会社から配当をもらうか」を選ぶための物差しです。
その物差しを手に入れたのに、選ぶ部分を人に預けてしまうのはもったいない話です。
銘柄を選ぶのが不安なら、ETFに逃げるより単元未満株を使って、1株ずつ少額から慣れていくほうをすすめます。
なお、これは配当を受け取る側の話です。
資産を増やす側でインデックスの投資信託を積み立てるのは、まったく別の話として続けてかまいません。
増やす担当と受け取る担当を分けておくと、どちらの判断もぶれにくくなります。





個別に選ぶのがしんどかったら、増配株ETFでええんちゃう?という声もあると思うで。





気持ちはわかるけど、選ぶところがこの投資の中身やからな。
毎年増やせてる会社を自分で見つけるために連続増配を見てるのに、そこを任せたら本末転倒や。
不安やったら1株ずつでええ。
少額でも自分で持ったほうが、決算の見え方が変わってくるで。
30銘柄のなかでの位置づけ|年数は入口、見るのは今の稼ぐ力
連続増配の年数は、銘柄を絞り込むときの入口として使っています。
長く増やし続けてきた会社は、それだけ多くの不況をくぐってきたということなので、候補に残す理由にはなります。
ただ、年数そのものを買う理由にはしていません。
見ているのは、いまも稼げているかどうかです。
利益とその推移、営業キャッシュフロー、自己資本比率、そして配当性向。
スクリーニングでは配当性向が70%を超える会社は外しています。
20年続いた記録があっても、いまの利益が細っていれば次の1年が続く保証にはなりません。
銘柄数についても考え方があります。
連続増配の会社を数社に絞って持つ組み方もありますが、ここでは30銘柄に分散する形から始めて、ゆくゆくは80銘柄まで広げることを目標にしています。
記録が途切れるのは1社ずつ起きることなので、1社の判断が家計に響かない持ち方にしておくほうが長く続きます。
業種の偏りにも気をつけます。
連続増配の顔ぶれは日用品・医薬品・リースなどに寄りやすいので、そればかり集めると同じ景気の波でまとめて動くことになります。
連続増配は絞り込みの材料のひとつにして、業種の散らばりは別に確保します。
このサイトで10年分のデータをもとに分析した連続増配の銘柄もあります。
KDDI、NTT、アサヒGHD、三菱HCキャピタル、あいHDを取り上げているので、気になる会社があれば個別の分析記事も見てみてください。





連続増配って、結局まぐにとってどういう位置づけなん?





候補に残す理由にはなるけど、買う理由にはならへんな。
20年続いてても、いまの利益が細ってたら次の1年は別の話や。
年数は入口で、見てるのはいまも稼げてるかどうかやで。
まとめ|記録の長さより、続いている理由を見る
連続増配株は、1株あたりの配当を毎年増やし続けてきた会社です。
据え置きでも記録が途切れる厳しい条件なので、続いていること自体が稼ぐ力が何度もテストを通ってきた証拠になります。
長く持つほど買値に対する利回りが上がっていくのも、この投資と相性のいいところです。
この記事のまとめ
・連続増配の判定は1株あたり配当(分割は調整後)
・据え置きでも記録は途切れる(累進配当との最大の違い)
・続く会社は安定需要・価格転嫁力・不況でも黒字の3点を備える
・長期保有で買値に対する利回り(イールド・オン・コスト)が上がる
・記録はいつか途切れる。
配当性向と利益の推移を確かめる
・年数は絞り込みの入口。
買う理由はいまの稼ぐ力に置く





最後に、連続増配をどう受け取ったらええか、ひとことで言うとどうなる?





「何回テストを通ってきたか」の記録やと思ってる。
回数が多い会社は候補に残すけど、次のテストに通るかは別の話や。
記録の長さやなくて、続いてる理由のほうを見にいくのが結局は近道やで。
まぐのメモ
連続増配を調べていて腹落ちしたのは、これが「配当が増える話」やなくて「不況の年も稼げてた記録」やということ。
増配は結果で、増配できたという事実のほうが情報として濃い。
何十年ぶんの決算をひとつの数字に圧縮してくれてる、という受け取り方をしてる。
ただ、年数の長さに引っぱられすぎると高いところで買ってしまう。
実際、連続増配で有名な会社ほど株価が評価されていて、利回りで見ると物足りないことが多い。
候補には入れるけど、買うかどうかは利回りと配当性向と利益の推移を見てから決める。
記録は入口で、判断は別、というところに落ち着いた。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 連続増配株なら、持っていれば必ず儲かりますか?
そこまでは言われへんな。
連続増配の会社でも株価が下がる場面はあるし、記録が途切れることもある。
ただ、不況の年も配当を増やせてきたという事実は、稼ぐ力を見るうえでかなり強い材料や。
必ず儲かるかやなくて、長く持ちやすいかで見るほうがしっくりくると思う。
Q2. 日本株と米国株、どちらの連続増配株を選べばいいですか?
ここでは日本株を中心に見てる。
円で受け取れるから為替の読みが要らんし、決算やニュースも日本語で追える。
米国は増配の歴史が長くて銘柄も多いけど、そのぶん為替と時差がついてくる。
どっちが上という話やなくて、自分が決算まで追いかけられるほうを選んだらええと思う。
Q3. 連続増配が途切れたら売ったほうがいいですか?
機械的に売らんでええと思う。
まず、減配なんか据え置きなんかを分ける。
そのうえで、なんでそうなったんかを決算で確かめる。
分社や一時的な費用が理由で、稼ぐ力そのものが変わってへんのやったら、持っといてええ場面も多いで。
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✅ 日本製鉄(5401)|PBR0.56・利回り4-5%
✅ JT(2914)|配当利回り4%超え
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