eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)。
このブログで毎月積み立てている2本です。
この2本を運用している三菱UFJアセットマネジメントから、新しいファンドが発表されました。
2026年9月30日に設定される「eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)」、愛称は「オルカン高配当」です。
世界の高配当株にまとめて投資できて、信託報酬は年0.165%。
NISAの成長投資枠でも買えます。
先に結論を書きます。
いまは買いません。
悪いファンドだと思ったからではなく、判断するための材料がまだ出ていないからです。

あのオルカン出してる三菱UFJアセットマネジメントが、高配当オルカンの投資信託を出すんやな





オルカン高配当とオルカン、名前が似てるだけで中身は別もんやで。
どこがどう違うんか、順番に見ていこか
「オルカン高配当」とは何か
2026年8月26日に発表された、新しいインデックスファンドです。
公表されている内容をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー) |
| 種類 | 配当払出型/資産成長型の2本 |
| 設定日 | 2026年9月30日 |
| 信託報酬 | 年0.165%(税込) |
| 連動する指数 | MSCI ACWI 高配当利回り指数 |
| 指数の採用基準 | 配当の持続性・成長性やクオリティの基準を通過し、かつ配当利回りが親指数の1.3倍以上 |
| 決算 | 年4回(3・6・9・12月の14日) |
| 分配の原資 | 経費を差し引いた後の配当等収益の全額 |
| NISA | 成長投資枠で購入可能 |
| 購入時手数料 | ありません |
| 信託財産留保額 | ありません |
| 販売会社 | SBI証券・楽天証券・マネックス証券 |
中身は世界の高配当株に投資する投資信託です。
ただし利回りが高いだけの銘柄を集めているわけではありません。
運用会社の資料には、配当の持続性や財務品質(クオリティ)の基準を通過した銘柄のうち、配当利回りが親指数の1.3倍以上のものから構成される、と書かれています。
2026年5月末時点の指数の構成比は、先進国が85.7%、新興国が14.3%となっています。
| 国 | 構成比 |
|---|---|
| アメリカ | 48.9% |
| 日本 | 8.1% |
| スイス | 5.9% |
| イギリス | 4.6% |
| フランス | 3.7% |
分配金の出し方は評価できます。
配当払出型は「経費を差し引いた後の配当等収益の全額」を配るとしています。
元本を取り崩して分配金に見せかける、いわゆるタコ足配当ではありません。
名前は「オルカン」でも、中身は別物
ここが最初のつまずきどころだと思います。
愛称に「オルカン」と付いていますが、ふだん「オルカン」と呼ばれているファンドとは別の商品です。
| 項目 | eMAXIS 高配当全世界株式(オルカン高配当) | eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) |
|---|---|---|
| シリーズ | eMAXIS(無印) | eMAXIS Slim |
| 選び方 | 財務や配当の持続性で絞ったうえで高配当 | 時価総額の大きい順に丸ごと |
| 指数の銘柄数 | 714 | 2,461 |
| 信託報酬 | 年0.165% | 年0.05775% |
| 分配金 | 年4回(配当払出型) | 出さない |
1. 信託報酬が違う
「オルカン高配当」の信託報酬は「オルカン」の信託報酬の約2.9倍です。
まず、合格か不合格かでいえば合格です。
このブログでは、インデックスファンドの信託報酬は年0.2%以下をひとつの目安にしています。
0.165%はその中に収まっています。
ただし、安いとは言えません。
本家オルカンとの差は、今のところ年0.107%です。
100万円あたり年1,072円、1,000万円なら年10,725円になります。
一度きりではなく、持っているあいだ毎年かかり続けます。
高配当のファンド同士で比べても、信託報酬はやや高めです。
| ファンド | 信託報酬(税込・年率) |
|---|---|
| eMAXIS 高配当全世界株式(オルカン高配当) | 0.165% |
| eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) | 0.05775% |
| SBI・S・米国高配当株式ファンド 年4回決算型(SBI・SCHD) | 0.1227% |
| 楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド 四半期決算型(楽天SCHD) | 0.1238% |
※SCHDに連動する2本は投資先のETFの経費まで含んだ「実質」の数値ですが、オルカン高配当の0.165%は信託報酬であり、実質はまだ分かりません。
同じ全世界のオルカンより3倍近く高く、米国の高配当ファンドよりも高い。
合格ラインの中ではありますが、無視していい差ではないと考えています。
なお0.165%は「以内」と書かれた上限であって、固定された数字ではありません。
もうひとつ大事なのは、「eMAXIS Slim」ではないことです。
名前は「eMAXIS」までで、そこから先の「Slim」が付いていません。
eMAXIS Slimシリーズには「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」という方針が掲げられています。
実際にeMAXIS Slimオルカンは、これまでに何度も信託報酬を引き下げてきました。
今回のファンドは、そのシリーズには入っていません。
いまの0.165%が将来下がっていくかどうかは、約束されていないということになります。
2. 投資先が違う
持っている会社の数も、大きく違います。
連動する指数の構成銘柄数を、MSCIの公表資料で並べてみます。
| 指数 | 構成銘柄数 |
|---|---|
| MSCI ACWI 高配当利回り指数(オルカン高配当が連動) | 714 |
| MSCI ACWI(本家オルカンが連動) | 2,461 |
※いずれも2026年6月30日時点、MSCIのインデックス・ファクトシートより。
数のうえでは3割弱まで絞られていることになります。
絞るということは、分散が効きにくくなるということでもあります。
もうひとつ、構造的な話があります。
配当利回りが高い会社は、すでに成長が一段落した成熟企業に偏りやすい傾向があります。
成長にお金を回す段階を過ぎたから、配当に回せるとも言えるからです。
そうなると、値上がり益と配当を合計した「トータルリターン」では、本家オルカンを下回ることも想定されます。
配当を受け取れる代わりに、増える力の一部を手放す。
そういう構造だと考えています。





名前に「オルカン」が付いてるから、つい同じ仲間やと思うわ





名前は似てても、追いかけてる指数が別もんや。
中身も値動きも変わってくるで
いま判断できない3つの理由
ここまでは、公表されている事実を並べてきました。
ここからは、まだ公表されていないことの話です。
新しいファンドには、設定の時点では決まっていない数字があります。
それが3つあり、どれも買うかどうかを決めるのに必要な数字です。
1. 実質コストが分からない
投資信託には、信託報酬のほかに売買手数料や保管費用などがかかります。
これらを合計した「実質コスト」は、運用報告書が出てはじめて分かります。
しかもこれは、こちらが勝手に心配しているのではありません。
運用会社の資料そのものに、これらの費用は「あらかじめ金額または上限等を記載することはできません」と書かれています。
つまり設定前の時点では、実際にいくら引かれるのかが分かりません。
信託報酬より実質コストが大きく上振れるファンドはめずらしくありません。
2. 分配金利回りが分からない
高配当のファンドを買う目的は、分配金です。
ところが、実際にいくら配られるのかは、最初の決算を迎えるまで分かりません。
指数の採用基準は「配当利回りが親指数の1.3倍以上」と公表されていますが、そこから信託報酬や税金が引かれた後に、手元にいくら残るのかは別の話です。
3. 純資産総額がゼロから始まる
設定直後のファンドは、規模がまだありません。
規模が小さいままだと、運用が効率的にできなかったり、最悪の場合は繰上償還になることもあります。
参考までに、eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)の純資産総額は13兆8,650億円です(2026年8月時点)。
この規模まで育つかどうかはわかりません。





コストとか利回りとか数字が出揃ってへんなら投資するか判断難しいな。





急いで買う理由が無いんやったら、待つのも判断のうちや。
SBI・楽天SCHDの代わりになるか
高配当のファンドとして、米国のSCHDに連動する商品を持っている人もいると思います。
SBI証券と楽天証券から、それぞれ出ているものです。
正式名称は、SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)と、楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)です。
それぞれ「SBI・SCHD」「楽天SCHD」と呼ばれています。
どちらも、米国のETF「SCHD」に投資する商品です。
同じETFを持つので中身はほぼ同じですが、信託報酬は少し違います。
この2つとオルカン高配当を並べると、いちばん大きな違いは投資する地域です。
| 項目 | オルカン高配当 | SBI・楽天のSCHD |
|---|---|---|
| 投資する地域 | 全世界(米国48.9%・日本8.1%ほか) | アメリカのみ |
| 信託報酬 | 0.165% | 0.1227%(SBI)/0.1238%(楽天) |
| 決算 | 年4回(配当払出型) | 年4回 |
SCHDはアメリカの高配当株だけを買う商品です。
ここ10年ほどはアメリカが強かったので結果は出ていますが、1つの国に集中していることに変わりはありません。
オルカン高配当は、そこに世界の分散が加わります。
コストは少し上がりますが、その差は地域分散を買う代金だと考えることもできます。
つまり「米国だけに寄せたくない」と感じている人にとっては、SCHDの置き換え先として候補になり得ます。
ただし、そう言い切るにはもう1つ必要なものがあります。
実際の利回りです。
地域分散が効いても、受け取れる金額がSCHDより大きく下がるなら、置き換える意味は薄くなります。





地域分散のぶんはコストを払ってもええけど、利回りが分からんとな





そこは最初の決算を待つしかないな。
比べる材料が出てから並べたらええ
目的で分けて考えると、どこに置くかが見えてきます
ここまでをふまえて、「何のために買うのか」で並べてみます。
目的がはっきりすると、投資先の候補も見えてきます。
| 目的 | 素直な選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 老後資金など、いつ使うか決まっていないお金を増やしたい | オルカン(eMAXIS Slim) | 高配当に絞らないぶん成長も取りこぼさず手数料も低く、必要な時に取り崩せば済みます |
| 円建てインカムが欲しい | 日本の高配当株 | 為替リスクがなく、自分で選べば信託報酬もかかりません |
| ドル建てのインカムが欲しい | VYMなどの米国高配当ETF | 素直にそちらを選べば済みます |
| 外貨のインカムを世界に分散したい | オルカン高配当が候補 | SCHDは米国のみなので、地域分散はこちらが上です |
とくに2つ目は、コストの面でも強い選択肢です。
日本の高配当株を自分で選んで買うなら、信託報酬はかかりません。
銘柄を選ぶ手間と引き換えに、持っているあいだの費用をゼロにできます。
上の3つを見ると、オルカン高配当は増やすと受け取るの間に入る商品です。
増やす力では本家オルカンに及ばず、受け取る計算のしやすさでは日本の高配当株に及びません。
当てはまるのは、いちばん下の行です。
外貨のインカムを、米国だけに寄せずに受け取りたい。
この目的なら、この商品にしかない持ち味があります。
逆にいえば、そこに当てはまらないなら、わざわざ選ぶ理由は見つかりません。





こうやって並べたら、当てはまるのは外貨のインカムを世界に分散したい時だけやな





そこに当てはまるかどうかが分かれ目や。
当てはまらへんのやったら、無理に選ばんでええ
それでも合う人はいます
「投資するファンドを1本で完結させたい」という目的なら、この商品は筋が通ります。
世界中に分散しながら、値上がり益と分配金の両方を1本で受け取れます。
自分で複数のファンドを組み合わせたり、比率を考えたりする必要がありません。
ちなみに、全世界の高配当を自分で組む手もあります。
米国はVYM(経費率0.04%)、米国以外はVYMI(0.07%)というETFを組み合わせる方法です。
コストは半分以下になりますが、外国株の口座を用意して、2本の比率を自分で決めることになります。
分配金にかかる外国の税金も、自分で取り戻す手続きが必要です。
言い換えると、手間を減らすためにコストを払う商品だと考えれば、0.165%という値段の見え方も変わってきます。
自分でポートフォリオを組める人には割高に見えますし、組みたくない人には妥当に見えます。
結局は目的次第だと思います。
まとめ|買うかどうかは、実績が出てから決めます
もう一度、結論を書きます。
・いまは買いません
・信託報酬は合格ラインだが、本家オルカンの約2.9倍で安くはない
・実質コスト・分配金利回り・純資産総額が、まだ分からない
・目的別に見ると、それぞれもっと素直な選択肢がある
・ただし「1本で完結させたい」人には合う可能性があります
新しい商品が出ると、いま買わないと乗り遅れるような気持ちになります。
ただ、インデックスファンドは短期で勝負するものではありません。
半年や1年遅れて買っても、長期で見れば大きな差にはならないと考えています。
最初の決算で分配金の実績が出て、運用報告書で実質コストが分かってから、あらためて考えます。
そのときは、この記事の続きとして結果を書きます。





新しいもんが出たら、つい飛びつきたくなるけどな





待って損する商品やないからな。
数字が出てから決めても遅ないで
よくある質問(FAQ)
Q1. 「オルカン」と名前が同じなら、中身も似ていますか?
別もんやと思っといた方がええで。
ふだん言う「オルカン」は時価総額の大きい順に丸ごと買う指数やけど、こっちは財務や配当の持続性で絞ったうえで、利回りが高いもんを拾う指数や。
組み入れてる会社も業種も変わるから、値動きもちゃう。
Q2. NISAで買えますか?
成長投資枠で買えるで。
運用会社の資料にも「NISAの成長投資枠の対象」と書いてあるから、つみたて投資枠では買えへん。
分配金を受け取るタイプやから、NISAで持つなら受け取り方の設定も先に確認しといた方がええ。
Q3. 信託報酬0.165%は高いんですか?
単体で見たら安い部類やけど、比べる相手によるわ。
同じ「オルカン」の名前が付いてる eMAXIS Slim は0.05775%やから、約2.9倍になる。
米国高配当のSBI・S・米国高配当株式ファンドも0.1227%やから、それよりは高い。
Q4. 今後も買わないんですか?
とりあえず今は買わへんっていうだけや。
実質コストと分配金の実績が出てから、あらためて見るつもり。
数字を見て納得できたら買うし、できひんかったら見送る。
それだけの話やと思ってる。
出典:三菱UFJアセットマネジメント(2026年8月26日発表資料、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)ファンドページ)、MSCI(インデックス・ファクトシート)、SBIアセットマネジメント、楽天投信投資顧問、Vanguard、日本経済新聞、Impress Watch、CNET Japan。
信託報酬・構成比は各社の公表値で、2026年8月30日時点のものです。


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