高配当株ポートフォリオは、組んだら終わりではありません。
日々株価は変動しますし、決算で配当の見通しも動くことがあります。
毎月までやる必要はありませんが、数ヶ月に一度はポートフォリオのバランスが崩れていないか確認した方がいいでしょう。
そこで今回は持っている銘柄を買い増す場合に、何を見てどう足していくのか、買い増しの手順のご紹介になります。
8月3日の記事で、ライト工業(1926)の買い増しについて「8月5日の決算を見てから決める」と書きました。
その決算が8月5日に出たので、内容を確認したうえで、翌朝の寄り付きで1株だけ買い増しています。
この記事は、その記録です。
決算のどこを見て買わない理由がないと判断したのか、そして買うと決めたあとに何株にするかをどう決めたのかを書いています。
先に結論を書くと、株数を決めているのは値段ではありません。
1銘柄から受け取る配当が、全体の配当の5%を超えないように調整しています。
📝 この記事でわかること
✅ 8月5日の決算は減収増益。
自己資本比率も厚くなった
✅ 「配当予想の修正:有」と出たが、中身は株式分割にともなう調整だった
✅ 買い増しの株数は、金額ではなく配当の偏りで決めている(1銘柄5%以内)
✅ 1セクターからの配当も、全体の10%以下に収めている
✅ 実際に買った記録と、特定口座なので税引後がいくらになるか
前回、何を保留にしていたか
8月の高配当株ランキングを見たあと、買い増しの候補をライト工業に絞ったところまでが前回です。
新規投資したい銘柄がなかったので、既存の銘柄の中で配当利回りが上がっている(株価が下落した)銘柄の買い増しを検討することにしました。
三和ホールディングスは配当の余力が細る方向の数字が出ていたので見送り、アイカ工業、第一三共はそもそも大きく下がっていないので買い増す理由がなく様子を見ました。
ライト工業だけは前回買った時から株価が下がったものの、配当の見通しも変わっていなかったので買わない理由が見つかりませんでした。
ただし決算が数日後に控えていたので、そこで減配につながる材料が出ないかを確かめてから決めることにしました。
前回の記事
▶ 高配当株ランキングを見たあと何をするか|買うまでのステップ
ライト工業の8月5日の決算
ライト工業の2027年3月期・第1四半期決算が、8月5日に発表されました。
4月から6月までの3か月ぶんの数字です。
| 項目 | 今回(1Q) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 295億22百万円 | ▲3.3% |
| 営業利益 | 33億29百万円 | +19.5% |
| 経常利益 | 34億48百万円 | +22.7% |
| 純利益 | 22億95百万円 | +17.4% |
| 自己資本比率 | 73.0% | 前期末は71.5% |
売上は落ちていますが、利益は3段階とも2割前後伸びています。
工事の採算が良くなった形です。
自己資本比率も71.5%から73.0%に厚くなりました。
配当を出し続ける力という点で、悪くなった材料は見当たりません。

売上が減ってるのに利益が増えるって、どういうことなん?





受注した工事のうち、採算のええものが多かったということやね。
工事の会社は同じ売上でも案件の中身で残る額が変わるんよ。
売上が伸びてても利益の薄い工事ばっかりやったら、利益は減る。
配当の原資になるのは売上やなくて利益のほうやから、この形はむしろ見たかったほうや。
「配当予想の修正:有」と出ていた
決算短信の1ページ目には、配当の状況を書く欄があります。
四半期の決算で最初に見ているのはここで、通期の1株配当の予想が前回と同じ額のままかどうかを確かめています。
減配は決算と同時に発表されるので、ここが動いていなければその四半期は通り過ぎたことになります。
今回はその欄に「直近に公表されている配当予想からの修正の有無:有」と書かれていました。
文字だけ見ると身構えるところですが、中身は減配ではありませんでした。
同じ日に「株式分割および株式分割に伴う定款の一部変更ならびに配当予想の修正に関するお知らせ」という開示が出ています。
2026年10月1日を効力発生日として、1株を4株に分割するという内容です。
株式を4つに分ければ1株あたりの配当も4分の1になるので、予想の数字を書き換える必要があります。
その書き換えが修正として表示されていました。
| 第2四半期末 | 期末 | 年間 | |
|---|---|---|---|
| 前期実績(2026年3月期) | 40円 | 105円 | 145円 |
| 前回予想(5月14日) | 40円 | 106円 | 146円 |
| 今回修正(分割前に換算) | 40円 | 106円 | 146円 |
| 今回修正(分割後の表示) | 40円 | 26円50銭 | — |
開示文にも「本修正は分割比率にあわせて実施するものであり、実質的な変更はございません」と書かれています。
前期の145円から146円へ増える予想も、そのまま維持されています。





「修正:有」で慌ててまう人もおりそうやな。





文字だけ見たらそうなるかもしれへん。
けどその欄のすぐ横に、修正後の金額そのものが書いてあるから、前の予想と並べたら分割の調整かどうかはすぐ分かる。
四半期で見てるのは、結局その数字が動いたかどうかだけやからね。
なお、第2四半期末の配当40円は9月30日が基準日になります。
分割の効力発生日が10月1日なので、この40円は分割前の株数で支払われます。
決算と分割の読み方
▶ 決算とは? 投資家が見るポイントをわかりやすく解説
▶ 株式分割とは? 株価と投資家へのメリットをわかりやすく解説
では、何株買うのか
買わない理由が出なかったので、買うことは決まりました。
残っているのは何株にするかです。
30銘柄を組んだときは、1銘柄あたり約1万円になるように株数を決めました。
予算30万円を30で割った金額で、全部を横並びに揃えるための目安です。
本当は配当をベースに考えて、配当額が同じになるようにしたいのですが、同じタイミングでスクリーニングした銘柄たちでしたので、30銘柄を一気に買うので投資額ベースで考えても誤差の範囲と判断し買いやすさを重視してのことです。
ただし買い増しの場面では、この金額の目安では決めていません。
見ているのは配当のほうです。
1銘柄から受け取る年間の配当が、全体で受け取る配当の5%を超えないようにしています。


7月に買った30銘柄から受け取る配当は、税引前で年間12,147円です。
今回1株足すと12,293円になるので、5%のラインは615円になります。
ライト工業からの配当は3株で438円(1株146円)、全体の3.56%にあたります。
図のとおり、いまのところ5%に触れている銘柄はありません。
いちばん多いアマノでも542円で、全体の4.47%にとどまっています。
ライト工業は買い増したあとで30銘柄中8番目になり、5%のラインまではまだ距離があります。





なんで金額やなくて、配当のほうで見るん?





高配当株投資をしてるのは安定した配当をもらうために持ってるからやね。
そもそもスクリーニングの段階で、減配しにくそうな会社に絞ってはある。
それでも減配がゼロになるわけやないからな。
配当の額のほうで上限をかけとけば、1社が減っても全体は大きく崩れへん。
銘柄を選ぶ段階で、配当性向やROE、自己資本比率に条件をかけて、減配しにくそうな会社に絞ってはいます。
それでも減配がなくなるわけではありません。
配当の額で上限をかけておけば、1銘柄が無配になっても、受け取る配当が減るのは5%までで済みます。
30銘柄に分けている理由そのものが、1社の減配で計算が狂わないようにするためなので、分けるときの物差しも配当に揃えています。
もう一つの上限|1セクターからの配当は10%以下
1銘柄5%は、その会社が減配したときに備える線です。
ただ、減配は1社ずつばらばらに起きるとは限りません。
同じ業種の会社は、同じ理由でまとめて業績が落ちることがあります。
金利が上がった年に借入の重い業種がそろって苦しくなる、資源価格が下がった年に素材の会社が並んで減益になる、といった動き方です。
1銘柄ごとに5%を守っていても、同じ業種を3社も4社も持っていれば、その業種がこけた年にまとめて効きます。
そこで、1つのセクターから受け取る配当も、全体の10%以下に収めるという線も置いています。
1銘柄5%が個社への備えで、1セクター10%が業種への備えになります。


現状を数えると17のセクターに分かれていて、いちばん多い機械でも918円、全体の7.5%にとどまっています。
10%のラインは1,229円なので、いまのところ超えているセクターはありません。
30銘柄を組んだときに「同じ業種は2銘柄まで」という制限をかけていたので、セクターの偏りはその時点でかなり抑えられています。
13のセクターが2銘柄、4つのセクターが1銘柄という配分で、10%の内側にきれいに収まっている状態です。





先に決めてた条件が、あとから効いてきた形やな。





そういうことになるな。
ただ、これから買い増していくと同じ業種に厚みが出てくることはある。
今回のライト工業も建設業で、ショーボンドと合わせて6.5%や。
1株ずつ足していくうちに10%へ近づくこともあるから、そのときは別の業種のほうを厚くしていく。
5%も10%も「基本的に」の線
ここまでに出てきた2つの線、1銘柄からの配当5%と1セクターからの配当10%は、超えた瞬間に何かをする厳密な制約ではありません。
増配が続けば、そのうち超える銘柄やセクターは出てくることもあります。
そのときも売ることはしません。
調整するときは、他の銘柄を買い増していきます。
超えた銘柄を減らすのではなく、全体の配当を増やして比率を下げる方向です。
毎月いくらかを積んでいる段階なので、売らずに比率を戻すことができます。





増配で超えるんやったら、それは良いことなんやもんな。





そういうことやね。
その会社が配当を増やしてくれた結果として超えるわけやから、それを理由に売るのは話が逆になる。
しかも全部の銘柄が同じ率で増配したら、比率は動かへんのよ。
偏るのは1社だけ大きく増やしたときだけや。
いま最も配当が多いアマノが5%に触れるのは、この会社だけが12.7%ほど増配した場合になります。
十分ありえる幅なので、そうなったら他の銘柄をおいおい厚くしていくことになります。
セクターの10%も同じ考え方です。
同じ業種の2社がそろって増配すれば、そのセクターの比率は上がります。
その場合も、厚くなったセクターの銘柄を減らすのではなく、まだ薄いセクターのほうを買い増していく形で近づけます。
売らずに比率を動かせるのは、毎月いくらかを足している段階だからです。
そこから先は、えいや
ここまでで決まるのは、買っていい銘柄と、増やせる株数の上限までです。
その範囲の中で、今日1株にするか2株にするかは、悩ましいところでした。
株価がこれから上がるか下がるかは読めないので、最後は思い切って発注することになります。
ただ、当てずっぽうで買っているわけではありません。
候補を絞り、買わない理由がないことを確かめ、買い増してもポートフォリオ全体が偏らない範囲かを見ました。
そこまでやったうえでの、えいやです。
ちなみに今回は、その読めない部分がそのまま出ました。
決算が good と受け止められて、翌朝の寄り付きは前日より高いところから始まっています。
実際にいくらで買えたのかは、このあとの章に書いています。
この順番については前回の記事に書きました
▶ 高配当株ランキングを見たあと何をするか|買うまでのステップ
実際に買った記録
8月6日の寄り付きに間に合うよう、前日の夜に注文を出しました。
楽天証券のかぶミニで、1株、成行、寄付の注文です。
かぶミニは寄付の注文なら手数料もスプレッドもかからないので、1株でも余計なコストが乗りません。
寄り付きの成行で約定して、単価は3,995円でした。
手数料は0円なので、支払ったのは3,995円ちょうどです。
これで保有は3株、取得総額は12,205円、平均取得単価は4,068円になりました。
買い増した1株の配当利回りは3.65%です。
7月に買った2株の3.55%より高い水準になりました。
決算の翌日だったので、寄り付きから高いところを買っています。
決算当日の終値は3,715円だったので、そこから280円ほど上に付いた値段で約定しました。
減収増益と自己資本比率の改善が好感された形だと思います。
成行で出している以上、この差は選べません。
ただ、7月に買った2株の単価は4,105円でした。
それと比べると110円安く買えている計算になります。
平均取得単価も4,105円から4,068円に下がりました。
前の日と比べれば高く、前に買ったときと比べれば安い、という位置です。





決算の翌日に買うたら、そら上がってることもあるわな。





内容が良かったらそうなるね。
ただそれが前の日に分かるんやったら苦労はないわけで、そこは読めへん。
決算を見てから決めると決めた時点で、翌日の寄り付きがどこに付くかは受け入れる話になるんよ。
この連載で使っている楽天証券の口座は特定口座です。
NISAの口座は1人につき1つの金融機関でしか開けず、別の証券会社で使っているため、この30銘柄は課税される口座で持っています。
買い増したあとの年間配当は税引前で12,293円、20.315%が引かれた税引後では9,796円になります。
差の2,497円が毎年税金として引かれている計算です。
ライト工業の3株ぶんで見ると、438円が税引後349円になります。





NISAやったら、その税金ぶんは残ってたってことか。





残ってた。
だからNISAの枠が空いてるなら、高配当株こそ先に入れる価値があると思ってる。
配当は受け取るたびに課税されるから、非課税の効きが毎年繰り返されるんよ。
この連載は口座が埋まってるから特定でやってる、というだけの話や。
NISAで高配当株を買う場合
▶ 新NISAの成長投資枠で高配当株を買う|配当非課税の効果と枠の使い方
まとめ|メンテナンスは配当の偏りを見ながら
買い増しは、値段が下がったから買うという作業ではありません。
買う理由が変わっていないこと、買わない理由がないことを確かめて、そのうえで受け取る配当が偏らない範囲に収まるかを見る、という順番になります。
この記事の要点
ライト工業の8月5日の決算は減収増益。
自己資本比率も71.5%から73.0%に厚くなった
「配当予想の修正:有」の中身は株式分割(1株→4株)にともなう調整だった
分割前の金額に直すと年間146円で、5月の予想から動いていない
買い増しの株数は、金額ではなく配当の偏りで決めている(1銘柄5%以内)
同じ1株でも、金額で見ると最も厚く、配当で見ると8番目になる
1セクターからの配当も10%以下(現状は最大7.5%)
5%を超えたら売るのではなく、他を買い増して比率を戻す
決算の日は、配当の欄に「修正:有」と出た時点で一瞬だけ手が止まりました。
そこからが早かったのは、見る場所を先に決めてあったからです。
同じ日に出ていた分割の開示を開いて、分割前に直した金額を前回の予想と並べたら、それで終わりました。





1株だけの買い増しやのに、こんなに考えないとあかんねんな?





同じ判断をこの先も何十回と繰り返すからな。
そのたびに違う理屈で決めてたら、あとから自分の判断を検証できへんようになるからな。
金額でいうたら数千円の話やけど、残しておく値打ちがあるのは金額やなくて手順の方やで。
関連記事
▶ 30万円で高配当株30銘柄を実際に買ってみた|実録連載スタート
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▶ 決算とは? 投資家が見るポイントをわかりやすく解説
▶ 配当性向とは? 目安と見方をわかりやすく解説
よくある質問(FAQ)
Q1. 「配当予想の修正:有」は減配ではないのですか?
今回は違うで。
株式分割をすると1株あたりの配当も分割比率で割られるから、予想の数字を書き換える必要があるんよ。
それが修正として表示される。
見分け方は単純で、分割前の金額に直してから前回の予想と並べるだけや。
同じ額やったら実質的な変更はない。
開示文のほうにも、その旨が書いてあることが多いで。
Q2. なぜ金額ではなく配当で株数を決めるのですか?
配当をもらうために高配当株投資をやってるからや。
金額で等分すると、利回りの高い銘柄ほど配当をたくさん出してくれることになる。
利回りが高い銘柄がたとえ減配しても、全体としては大きく配当金が減ってないってことになるんよ。
配当の額で上限をかけとけば、1銘柄が無配になっても減るのは5%までで済むな。
Q3. セクターの10%はどうやって数えるのですか?
そのセクターに入ってる銘柄の配当を足して、全体の配当で割るだけや。
うちの場合は17のセクターに分かれてて、いちばん多い機械で918円、全体の7.5%になる。
10%のラインは1,229円やから、いまは超えてるとこはない。
組んだときに「同じ業種は2銘柄まで」にしてたのが、結果的に効いてる形やな。
Q4. 1銘柄からの配当が5%を超えたらどうするのですか?
売らへんで。
他の銘柄を買い増して、全体で受け取る配当のほうを増やす方向で調整する。
分子(その銘柄の配当)を減らすんやなくて、分母(全体の配当)を増やして比率を下げるという意味やな。
増配で5%を超えるのは、その会社が配当を増やしてくれた結果やから、それを理由に手放すのは話が逆になってまう。
今はポートフォリオを厚くして買っていってる段階やから、売らんでも比率は戻せるんよ。
1セクターの10%を超えたときも、同じで別のセクターを厚くしていく。
Q5. 1株だけ買っても意味がありますか?
もらえる配当は1株ぶんやから、年間146円や。
金額としては小さい。
ただ単元未満株は手数料のかからん証券会社もあるし、配当は株数どおりに支払われる。
まとまった資金ができるまで待つより、条件を満たしたときに1株ずつ足していくほうが、判断する回数が増えて基準のほうも固まっていくと思てる。
Q6. なぜNISAで買わないのですか?
NISAの口座は1人につき1つの金融機関でしか開けへんから、別の証券会社のほうで使てるんよ。
この連載で使てる口座は特定口座やから、配当には20.315%かかる。
年間の配当でいうと2,500円くらいが税金で引かれる計算やな。
NISAの枠が空いてるんやったら、高配当株を先に入れる値打ちは大きいと思うで。
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