8月5日、保有しているライト工業の決算に「配当予想の修正:有」という文字が出ていました。
この表記は、増額のときも減額のときも同じように出ます。
増配か減配かどちらなのかは、開けるまで分かりません。
「配当予想の修正:有」だとざわざわしますね。
今回の中身は増額と株式分割で、良い知らせの方でした。
ただ、何銘柄も持っていれば、いつかどこかで減配が来ます。
そのときに売るのか、持ち続けるのか。
先に決めておかないと、来てから考えて急いで判断することになります。
先に答えを書きます。
減配が来ても、基本は売りません。
売るかどうかを決めるのは株価ではなく、配当を出す力が残っているかどうかです。
そして売らずに済むのは、減配しにくい銘柄を選んだからだけではありません。
1銘柄からの配当が、配当全体のごく一部にしかなっていないからです。
📝 この記事でわかること
✅ 減配が来ても基本は売らない。
いちばん効くのは銘柄選びではなく、1銘柄が配当全体の何%を占めているか
✅ まず確かめるのは「一時的か、構造的か」の1点
✅ 確かめ方はEPS・営業キャッシュフロー・配当総額を10年ぶん並べること
✅ 実録ポートフォリオでは、いちばん大きい1銘柄が無配になっても配当全体は4.4%しか減らない
✅ 3銘柄に集中していたら、同じ1社で33%減る
✅ 売るのは「配当を出す力そのものが無くなった」と判断したとき
✅ 減配は事故ではなく、想定に入れておく出来事
結論|売らない。1銘柄が配当全体の数%しか占めていないから
減配の知らせを受けたとき、頭に浮かぶのは「今すぐ売った方がいいのか」だと思います。
売るかどうかは、ここから調べて決めることです。
ただ、その減配で受け取る配当が最大でいくら減るかは、調べる前からもう決まっています。
配当全体の3分の1をひとつの銘柄から受け取っていれば、その1社が無配になった時点で受け取る配当は3分の1減ります。
逆に、1銘柄が配当全体の数パーセントしか占めていなければ、無配になっても全体はほとんど変わりません。
決めているのは、それまでの買い方です。
1社の減配で全体の数%しか配当金が減らない形にしてあれば、売るかどうかは決算を確かめてから決められます。

減配の知らせが来たら、まず何を見たらええん?




見るのは1点だけでええで。
その減配が一時的なもんか、それとも配当を出す力そのものが落ちたんか。
ここが分かれ目や。
まず確かめること|一時的か、構造的か
減配には2つの種類があります。
ひとつは、その年だけ利益が落ちたことによる減配です。
災害、一時的な減損、大型買収の費用計上、景気の波。
翌年に利益が戻れば、配当も戻ります。
もうひとつは、事業そのものが縮んだことによる減配です。
主力商品が売れなくなった、規制で市場が消えた、価格競争に負けた。
この場合、配当は戻りません。
見分けるときは、EPS(1株利益)と営業キャッシュフローの両方を並べます。
営業キャッシュフローは、本業でどれだけ現金を稼いだかを示します。
配当は最終的にここから出てきます。
EPSは減損などの一度きりの損失で大きく落ちますが、営業キャッシュフローは本業で入ってきた現金なので、そこは落ちません。
だから2つを並べると、どちらの減配なのかが見えてきます。
EPSだけが落ちていて営業キャッシュフローが保たれているなら、一時的な要因の可能性が高くなります。
両方が何年も落ち続けているなら、稼ぐ力そのものが縮んでいます。
そのうえで、営業キャッシュフローと配当総額を並べます。
営業キャッシュフローが配当総額を上回っているなら、稼いだ範囲で配当を出しています。
この状態で減配したなら、会社が先に手を打ったということです。
逆に、営業キャッシュフローが配当総額を下回る年が続いているなら、稼ぎ以外から配当の原資を持ってきていることになります。
そちらの方が深刻です。
数字はIR BANKで10年ぶんを並べて見られます。
1年だけを見ても波なのか傾きなのか分かりません。
配当性向も同じで、単年が高いことより、何年も高いまま戻らないことの方が問題になります。
1銘柄が減っても全体はどうなるか|実録ポートフォリオの数字
ここからは実際の数字で見ます。
30万円で30銘柄を買った実録ポートフォリオは、8月に1株だけ買い増して、約定総額307,961円、年間の配当は税引前で約12,293円です。
この12,293円のうち、いちばん大きい1銘柄が占めるのはアマノの542円です。
割合にすると4.41%。
いちばん大きい銘柄でも、配当全体の5%には届いていません。
これは偶然ではなく、1銘柄の配当が全体の5%を超えないように上限を決めて買い増しているからです。
この状態でアマノが完全に無配になったとします。
受け取る配当は12,293円から11,751円へ。
減るのは4.4%です。
半減で済んだ場合は2.2%しか減りません。
同じ配当額を、もっと少ない銘柄数で作っていたらどうなるかを並べます。
| 何銘柄で作るか | 1銘柄が無配になったとき |
|---|---|
| 3銘柄(均等) | −33.3% |
| 5銘柄(均等) | −20.0% |
| 10銘柄(均等) | −10.0% |
| 30銘柄(均等) | −3.3% |
| 100銘柄(均等) | −1.0% |
| 実録ポートフォリオ(30銘柄) | −4.4%(いちばん大きい1社の場合) |
3銘柄なら1社で3分の1が消えます。
30銘柄なら1社で数パーセントです。
同じ「減配された」という出来事でも、受け取る側の痛みがまるで違います。
売らずに済むのは、この差があるからです。
4.4%なら、翌年に別の銘柄が増配すれば埋まる範囲です。
33%だと、埋めようがありません。
今の30銘柄は出発点です。
ゆくゆくは80から100銘柄くらいまで広げることを目標にしていて、そこまで行けば1銘柄あたりは1%前後に下がります。
1社が無配になっても、全体では1%ほどしか動かない計算です。
ただし、銘柄数は増やせば増やすほど良いというものでもありません。
30銘柄から100銘柄へ増やせば1社あたりの影響は3.3%から1.0%まで下がりますが、そこから200銘柄に増やしても0.5%にしかなりません。
減らせる幅は小さくなっていく一方で、管理の手間は増え続けます。
その兼ね合いで80から100銘柄くらいがちょうどいいと考えていて、条件を満たした銘柄を1株ずつ足しながら近づけていきます。




1社からの配当が飛んでも4.4%か。
それやったら夜も眠れるな。




そこが分散のいちばんの効きどころやな。
減配は避けられへんけど、くらったときの痛みは先に小さくしておける。
減配が来てからでは間に合わへん、買うときの仕事やな。
それでも売る場合|配当を出す力そのものが無くなったとき
基本は売らないと書きましたが、例外はあります。
配当を出す力そのものが無くなったと判断したときです。
具体的には、次のような状態が重なったときになります。
・営業キャッシュフローが配当総額を下回る年が続いている
・売上と利益が数年にわたって右肩下がりで、戻る材料が見当たらない
・減配ではなく無配になり、復配の時期も示されていない
この状態は「今年は苦しい」ではなく「配当を出せる会社ではなくなった」に近づいています。
持ち続けても配当は入ってこないので、高配当株として保有する理由が消えます。
逆に言うと、株価が下がったから売るという判断はしません。
減配で株価が下がるのは自然なことで、配当を受け取り続ける立場から見れば、その下落自体は損失ではありません。
この考え方は株が下がったらどうする?に書いたことと同じで、見る対象が株価か配当かの違いだけです。
減配は事故ではなく、想定に入れておく出来事
30銘柄を10年持てば、一度も減配されないという想定の方が無理があります。
コロナ禍では多くの会社が減配しましたし、業績連動で配当を決める会社なら、景気が落ちた年に配当が減るのは仕組みどおりの動きです。
累進配当や連続増配を掲げている会社は、たしかに減配しにくい部類です。
ただし方針であって保証ではありません。
掲げていた方針を取り下げる会社もあります。
だから「減配しない銘柄を選ぶ」ではなく、「何社か減配されても全体が崩れない形にしておく」を先に置いています。
どう分けるかの手順は買ったあとのお手入れにまとめています。




減配された銘柄を、買い増すのはアリなん?




一時的やと見たならアリやけど、急がんでもええと思うで。
減配した年は配当が減ってるぶん、その銘柄が全体に占める割合も勝手に下がってる。
判断は来月でも再来月でもできるで。
よくある質問(FAQ)
Q1. 減配の知らせはどこで気づけますか?
決算短信の表紙に「配当予想の修正:有」と出るから、そこで分かるで。
ただしこれは増額でも分割でも「有」になるから、中身を開けるまでは減配とは限らへん。
証券会社のアプリで保有銘柄の適時開示を通知にしとくと、見落としが減ると思うで。
Q2. 減配されたらすぐ株価も下がりますか?
下がることが多いな。
ただ、減配が事前に織り込まれてた場合は、発表で逆に上がることもある。
配当目的で保有してるなら、株価の動きで慌てるより配当を出す力がどうなったかを先に見た方がええで。
Q3. 何銘柄あれば安心なんですか?
銘柄数だけ決めても意味がないんよ。
10銘柄でも、1社に配当全体の半分が寄ってたら分散になってへん。
大事なのは銘柄数やなくて、1社あたりが配当全体の何%を占めてるかや。
Q4. 減配した銘柄は、いつまで様子を見ればいいですか?
期限を切るより、材料で見た方がええと思うで。
次の決算で営業キャッシュフローが戻ってきてるか、会社が復配の見通しを出したか。
そこが出てこんまま2期、3期と続くようやったら、そのときに考え直したらええ。
Q5. NISAで持っている銘柄が減配したら、売ると枠はどうなりますか?
売った分の枠は、翌年になったら復活するで。
ただしその年のうちには戻らへんから、売って買い直すと1年ぶん枠を寝かせることになる。
NISAで持ってる銘柄ほど、慌てて売らん方がええ理由がここにもあるな。
まとめ|備えは、減配が来る前に
この記事の要点
減配が来ても基本は売らない
売らずに済むのは、1銘柄が配当全体の数%しか占めていないから
まず確かめるのは「一時的か、構造的か」の1点
確かめ方はEPS・営業キャッシュフロー・配当総額を10年ぶん並べること
実録ポートフォリオでは、いちばん大きい1銘柄が無配になっても配当全体は4.4%しか減らない
3銘柄に集中していたら、同じ1社で33%減る
売るのは「配当を出す力そのものが無くなった」と判断したとき
株価が下がったから売る、という判断はしない
減配は事故ではなく、想定に入れておく出来事
減配そのものは避けられません。
会社が決めることで、こちらから動かせる部分がないからです。
動かせるのは、実際に減配されたときにどれだけ痛むかの方です。
そしてそれを決めるのは、減配が来る前の買い方です。
だから買うときに、1銘柄へ配当が寄らないようにしておく、という順番になります。
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