高配当株を持っていれば配当が入ってきます。
その分だけ、老後にインデックスを取り崩す金額は減らせます。
では、貯めるべき目標額そのものも下がるのでしょうか。
ここでは、老後に足りない分が年100万円というケースで考えます。
これをインデックスの取り崩し(年4%)だけでまかなうなら、2,500万円を貯めておく必要があります。
先に答えを、3つに分けて書きます。
①インデックスの積立の必要額は、たしかに減ります。
半分を配当でまかなう形なら、2,500万円が1,250万円になります。
②ただし、必要な資産の合計は減りません。
配当をもらうにも元手が要るからです。
しかも特定口座ならむしろ増えますし、資産を増やす効率でも譲るので、その金額に届くまでは遅くなります。
③それでも、高配当株は始めた年から配当が入ります。
インデックスは目標額に届くまで1円も出てきません。
だから比率は、何を優先するかで自分で決める形になります。
この記事は、インデックス投資はいくら貯めたら十分?の続きです。
そちらでは、目標額に届いたら積立をやめていいこと、浮いたお金は今の生活に使ってもいいし高配当株に回してもいいことを書きました。
そこから出てくるのが「では、最初から配当があれば貯める額そのものが減るのか」という問いです。
この記事で扱うのは、インデックスと高配当株を並行して持つ場合になります。
計算はどちらもNISA口座で持つ前提で進めます。
特定口座だと税金のぶん話が変わるので、そこは後半でまとめて書きます。
📝 この記事でわかること
✅ この記事は「インデックスと高配当株を並行して持つ場合」の話
✅ 計算はNISAで持つ前提。
特定口座は後半に注意書きあり
✅ 配当でまかなうと、インデックスの目標額は下がる
✅ ただし高配当株にも元手が要るので、必要な資産の合計は変わらない
✅ 同じ50万円を作るのに、4%の取り崩しでも4%の配当でも1,250万円
✅ ただし資産を増やす効率はインデックスの方が上。
そこは高配当株が譲る
✅ だから金額は同じでも、その2,500万円に届くまでは遅くなる
✅ 特定口座だと配当は受け取るたびに全額へ課税されるので、必要な額は増える
✅ NISAの枠は生涯1,800万円・成長投資枠1,200万円が上限
✅ 配当の値打ちは金額の効率ではなく、目標額に届く前から使えるお金が出ること

配当があったら、インデックス投資で貯める額はその分少なくて済むんちゃうん?





インデックスの方は確かに減るで。
ただ、配当をもらうにも元手が要るからな。
合計で見たら変わらへんのよ。
結論|インデックスの目標額は下がる。でも合計は変わらない
前提として年間の生活費が300万円、年金など投資以外の収入が200万円で、資産から取り崩す分が100万円というケースで考えます。
この100万円を全部インデックスの取り崩しでまかなうなら、100万円 ÷ 4% で2,500万円が必要でした。
では、配当でまかなう割合を増やしていくとどうなるかを並べます。
| まかない方 | インデックス | 高配当株 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 全部インデックス(4%取り崩し) | 2,500万円 | — | 2,500万円 |
| 半分を配当(利回り4%) | 1,250万円 | 1,250万円 | 2,500万円 |
| 全部を配当(利回り4%) | — | 2,500万円 | 2,500万円 |
インデックスの必要額は2,500万円から1,250万円に下がり、全部を配当にすればゼロになります。
ここは想像どおりです。
ところが下がったぶんだけ高配当株の側に元手が要るので、合計はどこまで寄せても2,500万円のままです。
ここで揃えているのは、1年に現金として手に入る割合です。
資産の増え方まで同じという意味ではありません。
そこは後で分けて書きます。


なぜ合計が変わらないのか|4%と配当利回りは意味が違う
インデックス取り崩しの4%と配当利回りの4%、この2つの数字は、中身がまったく違います。
インデックスの4%ルールの4%は、元本を取り崩すことを含んだ数字です。
毎年資産を売って現金にしていく前提なので、運用で増える分に元本の取り崩しを上乗せして4%を作れます。
配当利回りは、元本を減らさずに受け取れる金額の割合です。
株を売らないので、受け取れるのは会社が出す配当だけになります。
中身は違いますが、1年に手に入る金額の割合としては、どちらも4%です。
だから同じ50万円を作るのに必要な元手も、どちらも50万円 ÷ 4% で1,250万円になります。
合計が変わらないのは、ここが理由です。
ただし、同じ4%でも中身は同じではありません。
そこがこの記事でいちばん誤解されやすいところなので、項を分けます。





取り崩しと配当で、同じ4%でも意味がちゃうんやな。





中身はぜんぜんちゃうで。
片方は元本を削って作る4%、もう片方は元本を残したまま受け取る4%やからな。
ただ1年に手に入る割合は同じやから、要る元手も同じになるんよ。
同じ4%でも、資産を増やす効率は同じではありません
4%ルールの4%は、インデックスがそれを上回る速さで増えていく前提の上に乗っている取り崩し率です。
取り崩しても資産が保てるのは、増える力が取り崩す率を上回っているからです。
つまりこの4%の裏側には、それより大きい伸びがあります。
高配当株の4%は、会社が稼いだ利益から配当として出したぶんです。
出したお金は事業に再投資されないので、その分だけ株価の伸びは抑えられます。
受け取った4%が、そのまま増える力の一部を削っている形です。
資産を増やす効率で言えば、インデックスの方が有利です。
これはこのブログで一貫して書いていることで、高配当株はそこを一歩譲る代わりに、目標額に届く前から現金が出てくる商品だと考えています。
30年でどれくらい差がつくかはインデックスと高配当株の「二刀流」で試算しています。
配当でまかなう形は、株数が減りません。
取り崩しは売るたびに口数が減っていくので、この違いは大きく見えます。
ただ株数が減らないことと、資産が増えやすいことは別の話です。
減らないのは株数であって、伸びしろの方は先に配当として受け取っています。
この差は、目標額に届くまでの時間に出ます。
同じ金額を毎月積み立てても、高配当株の比率が高いほど2,500万円に届くのは遅くなります。
必要な金額は変わらないのに、貯まるのは遅い。
ここが、配当を混ぜたときにいちばん割を食うところです。





必要な額は同じやのに、貯まるのは遅いってことか。





そこは認めなあかんとこやな。
増やす効率はインデックスの方が上や。
そのかわり高配当株は、始めた年から配当が入ってくる。
何を先に受け取るかの話やねん。
特定口座だと話が変わる|配当は受け取るたびに課税される
ここまではNISAで持つ前提でした。
特定口座で持つ場合は、同じ4%でも手元に残る金額が変わります。
実録ポートフォリオの数字で見ます。
30万円で30銘柄を買って、税引前の年間配当が約12,145円。
利回りにすると4.00%です。
ところが特定口座なので20.315%が引かれ、手元に残るのは約9,678円。
税引後の利回りは約3.18%まで落ちます。
取り崩しの側にも税金はかかります。
ただ、かかり方が違います。
| 特定口座での課税のされ方 | |
|---|---|
| 高配当株の配当 | 受け取るたびに全額へ20.315% |
| インデックスの取り崩し | 売った金額のうち利益の部分にだけ20.315% |
取り崩しの方は、売った金額のうち元本にあたる部分には課税されません。
たとえば元本500万円が800万円に育っているなら、課税されるのは増えた300万円の部分だけです。
取り崩しは少しずつ売るので、100万円ぶんを売った年にかかるのは、そのうち375,000円に対してだけです。
配当のように毎回まるごと引かれるわけではありません。
配当と取り崩しで税額にどれだけ差がつくかは、そのとき含み益がどれだけあるかで変わるので、いくらとは決められません。
ただ向きははっきりしています。
特定口座では、同じ金額を受け取るのに、配当の方が税は重くなります。
だから高配当株はNISAで持つ値打ちが大きい、という話になります。
ひとつ注意があります。
NISA口座で買っていても、配当の受取方法を株式数比例配分方式にしていないと、配当には課税されてしまいます。
設定は5分ほどで終わりますが、これを飛ばすと非課税の意味がなくなります。





配当は毎回まるごと引かれるんか。





そこがちゃうんよ。
取り崩しの方は、売った利益の部分にしかかからへんからな。
そやから高配当株こそNISAで持ちたいわけや。
NISAの枠には上限がある|配当に寄せるほど先に尽きる
NISAで持てば非課税ですが、いくらでも入るわけではありません。
生涯で買える金額は1,800万円まで、そのうち個別株を買える成長投資枠は1,200万円までです。
どちらも買ったときの金額で数えるので、そこから値上がりした分は枠を使いません。
さきほどの例で、高配当株を1,250万円ぶん持つとします。
成長投資枠1,200万円を使い切って、それが少し値上がりしていれば届く金額です。
つまりこの時点で、個別株に使える枠はほぼ埋まります。
そこからさらに配当の割合を増やそうとしても、NISAの枠には収まりません。
あふれた分は特定口座で持つことになるので、前の章の話が効いてきます。
枠の使い方は新NISAの成長投資枠で高配当株を買うにまとめています。
では、配当の値打ちはどこにあるのか
必要な資産が変わらないなら、配当を持つ意味はどこにあるのか。
4つあります。
① 目標額に届く前から、使えるお金が出る
いちばん大きいのはここです。
インデックスは、目標額に届いて取り崩しを始めるまで1円も出てきません。
10年でも20年でも、増えていく数字を眺めるだけです。
高配当株は、買った次の期から配当が入ります。
金額は小さくても、使えるお金として現金が振り込まれます。
出口を待たずに生活が少しずつ楽になっていく形は、インデックスにはないものです。
② 売る量を減らせる
取り崩しで弱いのは、相場が下げた年です。
同じ金額を作るのに、下げている年ほど多くの口数を売ることになります。
配当があれば、その分だけ売る金額を減らせます。
下げた年に手放す口数が少なくて済むので、相場の影響を受ける度合いが下がります。
③ 受け取る額が相場に振られにくい
配当は会社の業績と方針で決まるので、株価が3割下がった年でも配当が3割減るとは限りません。
入ってくる金額が読みやすい分、生活の計画は立てやすくなります。
ただし減配はあります。
自分で金額を決められる取り崩しと違って、受け取る額を自分でコントロールできないのは弱点です。
④ 買った値段に対する利回りは、育つことがある
ここまでの計算は、買ったときの利回り4.00%で置いています。
ただ株価がいくらになっても、自分が買った値段は変わりません。
だから会社が増配すれば、そのぶん買った値段に対する利回り(取得利回り)は上がっていきます。
実録ポートフォリオも、増配する会社を選ぶ形で組んでいます。
採点の8項目のうち1株配当は2倍の重みで見ていて、「10年減配なし&増配傾向」を◎としています。
選んだ30銘柄の過去10年の増配実績は、年およそ13%でした。
配当が増えても利回りが元のままなら、その分だけ株価は上がっている計算になります。
ただし約束ではありません。
過去10年がそうだったというだけで、減配すれば取得利回りは下がります。
配当に回した分が会社に残らないことも変わらないので、資産を増やす効率でインデックスに譲るという話はそのままです。





金額の効率やなくて、いつから使えるかの違いってことか。





そこが本質やと思うで。
同じ2,500万円貯めるにしても、途中で1円も出てけえへんのと、少しずつ入ってくるのとでは全然ちゃう。
続けやすさが変わってくるからな。
今の生活はどう変わるか|実録ポートフォリオの実数で見る
大きな話に聞こえますが、始まりは小さい金額です。
実録ポートフォリオは30万円で30銘柄を買った形です。
年間の配当は税引前で約12,145円、利回りにすると4.00%。
この利回りのまま金額を増やしていくと、受け取る配当はこう変わります。
| 高配当株の金額 | 年間の配当 | 月あたり | 特定口座なら(月) |
|---|---|---|---|
| 30万円(実録PF) | 12,145円 | 約1,012円 | 約806円 |
| 100万円 | 4万円 | 約3,300円 | 約2,650円 |
| 500万円 | 20万円 | 約16,700円 | 約13,300円 |
| 1,250万円(例の半分を配当) | 50万円 | 約41,700円 | 約33,100円 |
| 2,500万円(例の全部を配当) | 100万円 | 約83,300円 | 約66,300円 |
※年間の配当と月あたりはNISAで持つ前提(利回り4.00%)。
右端は特定口座で20.315%が引かれた場合(税引後3.18%)の概算です
この記事の例で高配当株に1,250万円を割り当てると、年50万円、月にすると約41,700円が入ってきます。
さきほどの表で「半分を配当」としていたのが、この金額です。
全部を配当にすれば倍になり、取り崩しをしなくても生活費の不足分100万円がまかなえます。
ただ、そこに届くまでは小さい金額です。
実録ポートフォリオは特定口座なので、いま実際に手元へ入るのは税引後で年9,678円、月にすると約806円になります。
月806円は、生活を変える金額ではありません。
ただ、インデックスなら同じ30万円を入れても出口まで1円も出てこないことを考えると、性格の違いは分かります。
積み上げていけば金額は増えていきますし、増えていく実感が数字で毎回届くのは、続けるうえで効いてきます。
実際に買ったときの記録は30万円で高配当株30銘柄を実際に買ってみたにまとめています。
どう配分するか|判断の材料
インデックスと高配当株にどう振り分けるかは、何を優先するかで変わります。
| 優先したいこと | 寄せる先 | 理由 |
|---|---|---|
| 目標額に早く届きたい | インデックス | 配当として現金が出ていかない分、複利が効きやすい |
| 今の生活を今よくしたい | 高配当株 | 目標額に届く前から使えるお金が入る |
| 下げ相場で慌てたくない | 高配当株を厚めに | 売らずに現金が入るので、売る判断の回数が減る |
NISAの枠については、配当を非課税にできる値打ちが大きいところです。
配当は受け取るたびに全額へ課税されるので、特定口座に置くと手取りが減ります。
ただし、つみたて投資枠で買える商品に個別株は含まれないので、高配当株を入れるのは成長投資枠になります。
枠の全体像はNISAとは?にまとめています。
どちらか一方に決める必要はありません。
役割が違うので、両方を持つ形が二刀流の考え方になります。
使った数字は控えめ|実際はもう少し上かもしれない
最後に、計算に使った数字そのものについて書いておきます。
取り崩しの4%は、資産が尽きにくいとされる目安から取った数字です。
インデックスそのものの利回りではなく、そこから安全を見たあとの数字になります。
配当の4.00%も、実録ポートフォリオを買った時点の入口の数字です。
さきほど書いた増配のぶんは、ここには足していません。
つまりどちらも、実際にはもう少し上振れる余地を残しています。
それでも設計の段階では、この控えめな数字で組んでおく方が安全です。
あとで困るのは、多めに見積もっていたときだけだからです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 配当があれば、少ない資産で引退できますか?
それが減らへんのよ。
同じや。
4%で取り崩すのも、利回り4%の配当をもらうのも、1年に手に入る割合は同じ4%やからな。
同じ50万円を作るのに、どっちも1,250万円要る。
しかも特定口座やと配当は毎回まるごと課税されるから、そっちの方が多めに要ることになるで。
Q2. 全部を高配当株にしたらどうなりますか?
必要な額は取り崩しと同じ2,500万円のままや。
ただ配当は会社が決めるもんやから、減配したら受け取る額が減る。
取り崩しは自分で金額を決められるから、そこは性格がちゃうな。
全部どっちかに寄せんでも、両方持っといたらええと思うで。
Q3. NISAの枠は、インデックスと高配当株のどちらに使うべきですか?
決まった正解はないけど、配当を非課税にできる値打ちは大きいと思う。
配当は受け取るたびに全額へ課税されるからな。
取り崩しの方は売った利益の部分にしかかからへん。
ただ個別株はつみたて投資枠では買えへんから、高配当株を入れるなら成長投資枠になる。
Q4. 配当が減ったらどうなりますか?
受け取る額が減る。
そこは避けられへん。
そやから1銘柄に寄せんように分散しとくんや。
うちの実録は30銘柄に分けて、1銘柄からの配当が全体の5%を超えんように調整してる。
1社が減配しても、生活の計画が崩れんようにするためやな。
Q5. インデックスと高配当株は、どんな割合にすればいいですか?
決まった比率はない。
何を優先するかで変わるからな。
目標額に早く届きたいんやったらインデックスを厚めに、今の生活を先に楽にしたいんやったら高配当株を厚めに。
途中で寄せ直してもかまへんし、年ごとに変えてもええと思うで。
まとめ|減るのは金額ではなく、待つ時間
この記事の要点
この記事はインデックスと高配当株を並行して持つ場合の話
配当でまかなうと、インデックスの目標額は下がる
ただし高配当株にも元手が要るので、必要な資産の合計は変わらない
4%の取り崩しも4%の配当も、1年に手に入る割合は同じだから
ただし資産を増やす効率はインデックスの方が上。
そこは高配当株が譲る
だから金額は同じでも、その2,500万円に届くまでは遅くなる
特定口座では配当が毎回まるごと課税されるので、必要な額は増える
取り崩しの課税は売った利益の部分だけ。
かかり方が違う
NISAでも株式数比例配分方式にしていないと課税される
NISAの枠は生涯1,800万円・成長投資枠1,200万円が上限
配当の値打ちは、目標額に届く前から使えるお金が出ること
売る量を減らせるので、下げた年の影響も小さくなる
最後に、3つに戻します。
①インデックスの積立の必要額は減ります。
これは配当でまかなうぶん、取り崩す金額が減るからです。
②必要な資産の合計は減りません。
特定口座ならむしろ増えますし、増やす効率で譲るぶん、その金額に届くまでも遅くなります。
ここだけ見れば、いいところがないように見えます。
③それでも、高配当株は始めた年から配当が入ります。
金額の効率ではインデックスに譲りますが、待っている間に現金が届くという一点だけは、インデックスにはできません。
それでも配当を持つ理由があるとすれば、減るのは金額ではなく、待つ時間の方だからです。
インデックスだけなら、目標額に届くまでの何十年かは数字が増えていくのを眺めるだけになります。
配当があると、その途中から現金が届きます。
金額は小さくても、出口を待たずに生活が少しずつ変わっていくところに値打ちがあります。





必要な額は変わらへんけど、待つ時間は短くなるってことか。





そこやな。
月800円でも、届いたら「増えてる」が目に見えるやろ。
それが何十年か続く積立を支えてくれるんよ。
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