
決算の話で「利益」と言うとき、実は5つの段階があります。
売上総利益・営業利益・経常利益・税引前利益・当期純利益です。
同じ会社の同じ年の決算でも、どの段階を見るかで数字がまったく違います。
そして分かることも違います。
この記事では5段階の並びを見たうえで、高配当株の採点でどの段階を使っているかまで書きます。
先に書いておくと、使っているのは売上高・EPS・営業利益率の3つで、経常利益は採点に入っていません。
📝 この記事でわかること
✅ 利益は5段階 売上総利益・営業利益・経常利益・税引前利益・当期純利益
✅ 上から順に、いろいろな費用を引きながら減っていく
✅ 営業利益までが本業 そこから下は本業以外の要素が混ざる
✅ 経常利益は日本の決算書に特有の段階
✅ 採点で使っているのは売上高・EPS・営業利益率の3つ
✅ 配当は最後の当期純利益から出る

利益って1つの数字ちゃうんや。
5つもあるん?





どこまで費用を引いたかで、名前が変わるんよ。
だから「利益が増えた」と言われても、どの利益の話かで意味がぜんぜん違う。
決算のニュースを読むときは、そこを先に見た方がいいで。
利益の5段階|上から順に減っていく


| 段階 | 何を引いたあとか | 分かること |
|---|---|---|
| 売上総利益(粗利) | 売上原価 | 商品やサービスそのもののもうけ |
| 営業利益 | + 販売費・一般管理費 | 本業でどれだけ稼げたか |
| 経常利益 | + 利息など本業以外の損得 | 財務も含めた通常の実力 |
| 税引前利益 | + その年だけの特別な損得 | 税金を払う前の金額 |
| 当期純利益 | + 法人税など | 株主の取り分として残った金額 |
分かれ目は営業利益です。
ここまでが本業だけの数字で、ここから下は本業と関係のない要素が足し引きされていきます。
たとえば借入の利息を払えば経常利益で引かれますし、持っていた土地を売れば税引前利益のところで足されます。
どちらも商品が売れたかどうかとは関係のない動きです。





経常利益って、あんまり海外の記事で見いひん気がするけどな。





日本の決算書に特有の段階やねん。
国際的な基準では、営業利益の次が税引前利益になることが多い。
日本の会社が中期計画で目標に使うことはあるから、名前は知っといたらいいで。
採点で使っているのは、5段階のうち2つだけ
高配当株を並べるときの採点は8項目あります。
そのうち利益にかかわるのは、次の3つです。
| 項目 | 見ている場所 | 基準 |
|---|---|---|
| ②売上高 | いちばん上 | 長期で増加=◎/横ばい=○/縮小=△ |
| ③EPS(2倍) | 当期純利益を株数で割った数字 | 長期で増加傾向=◎/横ばい=○/減少=△ |
| ④営業利益率 | 営業利益 ÷ 売上高 | 10%以上を安定維持=◎/数%台=○ |
経常利益は入っていません。
本業の実力は営業利益で足りますし、財務の状態は自己資本比率の方で見ているからです。
純利益は、率という形では入れていません。
そのかわりEPSとして2倍の重みで入っています。
理由は純利益率とはに書きました。





なんで純利益やなくてEPSなん?





1株あたりに直してあるからやな。
純利益が増えてても、株数が増えてたら1株の取り分は変わらへんことがある。
配当は1株あたりでもらうもんやから、そっちに揃えてるんよ。
配当は、いちばん下から出る
配当が出てくるのは、5段階のいちばん下にある当期純利益からです。
上の方がどれだけ大きくても、下まで残らなければ配当の余力にはなりません。
この関係を数字にしたのが配当性向です。
当期純利益のうち何%を配当に回したかを見る数字で、採点では30〜50%が◎、50〜70%が○としています。
⚠️ただし、利益は会計上の数字です。
実際に配当を払うのは現金なので、利益が出ていても手元に現金がなければ払えません。
そこを確かめるのが営業キャッシュフローで、こちらも採点の項目に入っています。
利益を見るときに気をつけること
ひとつ目は、どの段階の話かを確かめることです。
「増益」と書かれていても、営業利益が減っていて特別利益で最終の数字だけ増えている、ということが起こります。
ふたつ目は、1年だけで判断しないことです。
とくに営業利益より下の段階は、その年だけの出来事で大きく動きます。
ここでは10年分を並べて、いつもの水準がどのあたりかを見ています。
みっつ目は、上方修正や下方修正がどの段階の話かを見ることです。
経常利益を上方修正しながら営業利益は下方修正している、という形もあります。
決算の読み方は決算とはにまとめました。





見出しだけ見てたら、逆に受け取ってまいそうやな。





実際そういうことは起きるで。
だから見出しの「増益」だけやなく、どの利益が増えたんかを見るようにしてる。
会社が通期の見通しを上げてへんかったら、それがいちばんの答えやったりもするしな。
まぐのメモ
決算を見るとき、いちばん先に確かめるのは営業利益です。
本業だけの数字なので、その会社が普段どれだけ稼げているかがそのまま出るからです。
当期純利益は、そのあとに見ます。
配当の元になる数字なので大事ではあるのですが、土地を売った年や減損を出した年に大きく動くので、1年だけでは判断できないと思っています。
5段階あるのは面倒に見えて、実は親切な作りだと感じています。
どこで何が引かれたかが分かれるので、数字が動いた理由をたどれるようになっているからです。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 営業利益と当期純利益、どちらを見るべきですか?
本業の実力を知りたいなら営業利益やな。
配当の余力を見たいなら当期純利益の方になる。
⚠️ただ当期純利益は特別損益で大きく振れるから、1年だけで判断せん方がいいで。
Q2. 経常利益は何のためにあるんですか?
本業以外の損得まで含めた、通常の実力を見るための段階やな。
借入の利息や受け取った配当なんかがここに入ってくる。
日本の決算書に特有の段階で、国際的な基準では分けへんことも多いで。
Q3. 「増益」と書いてあれば良い決算ですか?
どの利益が増えたかで意味が変わるな。
営業利益が減ってるのに、土地を売った利益で最終だけ増えてることもある。
見出しの数字やなく、どの段階の話かを見るのが先やで。
Q4. 利益が出ていれば配当は必ず出ますか?
そうともかぎらへんな。
利益は会計上の数字で、配当を払うのは現金やからな。
手元に現金が入ってきてるかは営業キャッシュフローの方で確かめられるで。
まとめ
利益には5つの段階があります。
売上総利益・営業利益・経常利益・税引前利益・当期純利益の順に、いろいろな費用を引きながら減っていきます。
分かれ目は営業利益です。
ここまでが本業だけの数字で、ここから下は本業と関係のない要素が混ざります。
配当が出てくるのは、いちばん下の当期純利益からです。
高配当株の採点で使っているのは、売上高・EPS・営業利益率の3つです。
経常利益は入れていませんし、純利益も率ではなくEPSという形で見ています。
どの段階を見るかで、分かることが変わるということです。
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