2026年9月、日本の10年国債の利回りが3%台に乗りました。
3%台になるのは1996年以来、30年ぶりです。
金利が上がると株価は下がりやすい、とよく言われます。
ただ、それは全部の株が同じように下がるという意味ではありません。
上がりやすくなる会社もあります。
先に答えを書きます。
株価が大きく下がりやすいのは、借金の多い会社です。
そして高配当株を買う側から見ると、そこは同じ配当を安く買える場面にもなります。
📝 この記事でわかること
✅ 金利が上がると株価が下がりやすい理由は3つ
✅ ①預金や国債でも増えるので、株を持つ理由が薄くなる
✅ ②会社が払う利息が増えて、利益が減る
✅ ③円高に振れて、輸出で稼ぐ会社の利益が目減りする
✅ ②と③は会社によって差が出る。
借金が多い会社ほど利益が削られる
✅ 2022年のアメリカは教科書どおりに株価が下がった
✅ 一方この7年の日本は、金利も株価も上がっている
✅ 持っている高配当株31銘柄で、借金が重い会社は2社だけ
✅ その代わり、追い風になる銀行・保険は1社も持っていない
✅ 買う側から見ると、配当利回りが上がって仕込める場面になりうる
✅ ただし下がった理由が「金利」か「事業の悪化」かを分けて見る
✅ 数字は2026年9月8日時点
探しているのが「金利が上がったから、株より国債に置いた方がいいのか」でしたら、個人向け国債はどうなの?に答えを書いています。
インデックスと高配当株の割合から決めたい場合は、インデックスと高配当株の「二刀流」の方が早いです。
なぜ金利が上がると株が下がるのか
理由は3つあります。
どれも難しい話ではありません。
理由① 株を持たなくても、お金が増えるようになるから
金利が上がると、預金や国債の利率も上がります。
銀行に預けておくだけ、国債を買っておくだけで、お金が増えるようになります。
たとえば定期預金の利率が年1%になると、100万円を1年預けて1万円です。
元本が減る心配はありません。
株はそうはいきません。
値上がりも値下がりもするし、減配で配当が減ることもあります。
預けておくだけで増える選択肢が強くなると、その分だけ株を持つ理由は薄くなります。
理由② 会社が払う利息が増えて、利益が減るから
会社の多くは、銀行からお金を借りて事業をしています。
金利が上がると、その利息の支払いが増えるわけです。
たとえば1,000億円を借りている会社なら、金利が0.25%上がると利息は年2億5,000万円増える計算です。
そのぶん利益が減ります。
理由③ 円高に振れて、海外で稼ぐ会社の利益が減るから
日本の金利が上がると、円で持っておく魅力が増します。
海外から日本にお金が入ってきやすくなるので、円高の方向に振れやすくなります。
円高になって困るのは、海外で売って稼いでいる会社です。
自動車や電機のように輸出で稼ぐ会社は、同じ台数を売っても、円に直したときの金額が小さくなります。
ここ数年は円安が続いていて、それが利益を押し上げてきた会社がたくさんあります。
円安で伸びてきた会社ほど、円高に振れたときの反動も大きくなります。
反対に、輸入する側は有利になります。
原材料を海外から買っている会社や、輸入品を売っている会社にとっては追い風です。
この3つには違いがあります。
1つ目は全部の株に同じようにかかりますが、2つ目と3つ目は会社によって差が出ます。
借金をしていない会社や、海外で売っていない会社には関係のない話だからです。

預金でも増えるようになって、会社の利息も増えて、円高でも減るんか。
ただ、全部の株が同じように下がるわけやないんやな





そや。
同じ金利でも、会社によって利益の減り方が全然ちがうんよ
実際に起きた例|2022年のアメリカ
この3つがそのまま出たのが、2022年のアメリカです。
物価の上昇を抑えるために、FRBが利上げを進めた年でした。
アメリカの10年国債の利回りは1年で1.51%から3.88%まで上がりました。


S&P500は1年で19.4%下がりました。
月末で見ると9月末の3,586がいちばん低く、2021年末からは24.8%の下落です。
国債で4%近く受け取れるようになれば、値下がりする株を持つ理由は薄くなります。
借金で事業を回している会社は、利息の負担が増えます。
理由①と②が同時に出た形です。





教科書どおりに動いた年やな。
金利が上がって、株が下がった
日本の金利はどこまで上がったのか
日本の10年国債の利回りは、2026年9月2日に3.006%をつけました。
2016年にはマイナス金利まで下がっていたので、そこから10年かけて上がってきた形です。


そして日銀は9月17日から18日に金融政策決定会合を開きます。
ここで利上げがあるかどうかが、当面の焦点です。
金利は上がっているのに、株価も上がってきた
ここまで「金利が上がると株価は下がりやすい」と書いてきました。
ところが、この7年の日本株はその通りに動いていません。


日本の10年国債の利回りは、2019年の−0.095%から2026年の2.522%まで上がりました。
その同じ期間に、日経平均は21,697円から60,960円へ、2.8倍になっています。
株価が上がる理由は2つです。
会社の利益が増えるか、同じ利益に対して払われる値段が上がるかで、この7年は両方が起きていました。
まず1株あたりの利益が1,743円から3,250円へ、1.9倍になりました。
会社が実際に稼ぐ金額が、それだけ増えたということです。
そしてPERが12.4倍から18.8倍へ広がりました。
PERは、株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを示す数字です。
同じ1円の利益に対して、投資家がより高い値段を払うようになったことを意味します。
利益が1.9倍、PERが1.5倍。
この2つを掛けると、株価の2.8倍になります。
利益を押し上げたのが円安です。
ドル円は109円から159円まで動きました。
1ドルを稼いだときに手元に入る円が、それだけ増えたということです。
海外で稼ぐ会社の利益は、同じ数を売っていても膨らみます。
理由③で「金利が上がると円高に振れやすい」と書きました。
この期間はその逆で、日本の金利が上がる以上に海外の金利が高く、円安が進んだ形です。
表で2020年だけPERが18.3倍と高いのは、コロナで利益が一時的に落ち込んだからです。
株価はそれほど下がらなかったので、割り算の結果としてPERが跳ね上がりました。
比べる年としては、コロナ前の2019年を使っています。
金利は株価を決める要素のひとつでしかありません。
金利が上がる背景に景気の良さがあるなら、企業の利益も同時に伸びます。
金利だけを見て株価の先を決めることはできない、ということです。





金利が上がったら株が下がる、で終わりやったら2020年からの日本株を説明できひんもんな





そやな。
金利が上がったら必ず株価が下がる、とは限らへんのよ。
利益がそれ以上に伸びたら、株価はついていくからな
業種で分かれる|追い風になる会社もある
金利が上がったとき、株価が上を向くか下を向くかは業種で変わります。


銀行は、預かったお金を貸して利息を受け取っています。
金利が上がると受け取る側も増えるので、追い風になります。
反対に、不動産のように借りたお金で物件を持つ事業は、利息の増加がそのまま重くのしかかります。
電力やガス、鉄道のように大きな設備を持つ会社も同じです。
自動車や電機のように輸出で稼ぐ会社は、借金の量とは別に、円高の方向から逆風を受けます。
食品や医薬品のように借金が少なく、景気に関わらず売れるものを扱う会社は、どちらにもあまり動きません。
ただしこの図は、業種としてどちらに転びやすいかを並べたものです。
同じ不動産でも借金の少ない会社はありますし、同じ食品でも借金の多い会社はあります。
借金が多い会社ほど利益が減る|目安は自己資本比率
では、その会社の借金が重いかどうかは、どこを見れば分かるのでしょうか。
いちばん手に入りやすい数字が自己資本比率です。
会社の全財産のうち、返さなくていいお金がどれだけあるかを表します。
この数字が高いほど、自分のお金で事業をしている割合が大きくなります。
低いほど、借りたお金に頼っていることになります。
金利が上がったときに利息の負担が増えるのは、低い方の会社です。
| 自己資本比率 | 借金の重さ |
|---|---|
| 60%以上 | 軽い |
| 40〜60% | 普通 |
| 40%未満 | 重い |
ひとつ注意があります。
自己資本比率の分母には、買掛金のような利息のつかない負債も入っています。
そのため「自己資本比率が低い=利息を払う借金が多い」とは限りません。
当たりを付ける段階の目安として使う数字です。





ざっくり見るには使えるけど、それイコール借入の額やないってことは覚えといてな
持っている31銘柄はどうか
このブログでは、30万円で高配当株を買った実録を連載しています。
いまは31銘柄・18業種です。
その自己資本比率を並べると、こうなりました。


借金が重い側に入るのは31銘柄のうち2社だけで、どちらも不動産業です。
高配当株を選ぶときに自己資本比率も見ているので、借金の重い会社は自然と少なくなります。
そしてもうひとつ、はっきりしていることがあります。
金利が上がって追い風になる銀行・保険を、1社も持っていません。
18業種に散らしていますが、そこは空いています。
借金の少ない会社を選ぶ基準が、金利で得をする側を選びにくくしている、ということです。
金利への強さを取った分だけ、金利で得をする機会は手放しています。





守りを固めた分、攻めの一手は持ってへんってことやな。
それはトレードオフや
それでも売らない
金利が上がっても、持っている株を売る予定はありません。
理由は2つあります。
1つ目は、買った理由が金利ではないからです。
10年の配当実績と財務を見て選んだので、売るかどうかを決めるのも同じ土俵になります。
金利で株価が動いても、その会社が配当を出す力が変わったわけではありません。
2つ目は、受け取っているのが配当だからです。
株価が下がっても、配当が続いていれば受け取る額は変わりません。
売るかどうかを考えるのは、金利が動いたときではなく、減配が起きたときや、選んだときの前提が崩れたときです。





金利で買ったわけやないから、金利で売ることもせえへんな
買う側から見ると、むしろチャンスかもしれない
ここまでは持っている株の話でした。
これから買う側から見ると、景色が変わります。
配当の金額が変わらないまま株価が下がると、配当利回りは上がる計算です。
たとえば株価2,500円で年間100円の配当を出す会社が、配当はそのままで株価だけ2割下がったとします。
| 株価 | 年間の配当 | 配当利回り | |
|---|---|---|---|
| 下がる前 | 2,500円 | 100円 | 4.0% |
| 2割下がったあと | 2,000円 | 100円 | 5.0% |
高配当株は、買った値段がそのまま受け取る利回りを決めます。
この例で2,000円のときに買った人は、その後で株価が2,500円に戻っても、5%を受け取り続けます。
金利が上がっている局面では、借金の多い会社や輸出で稼ぐ会社が売られやすくなります。
売られた理由が金利であって、その会社が配当を出す力ではないなら、同じ配当を安く買える場面だということです。





いま株価が高いとこばっかりやからな。
売られてる中に、割高やない値段で買える銘柄が出てくるかもしれん
ただし、下がった理由を確かめてから
安く見えるものが全部お買い得というわけではありません。
下がっている理由は2つに分かれます。
| 下がった理由 | どう見るか |
|---|---|
| 金利が上がって売られた | 配当を出す力は変わっていない |
| 事業が傾いて売られた | 配当そのものが危ない |
見るのは株価ではなく、配当を出す力です。
利益が続いているか、営業キャッシュフローがプラスか、自己資本比率が落ちていないか。
この3つが崩れていないなら、株価が下がったことは受け取る側にとって悪い話ではありません。
そして金利の向きは、いずれ変わります。
金利が上がる局面で逆風になる業種は、下がる局面では追い風に変わります。
下がり始めてから買おうとすると、株価はもう戻っていることが多くなります。
ただし、いつ下がり始めるかは読めません。
買うとしても一度には入れず、分けて買っていくことをおすすめします。





安いから買うんやなくて、配当を出す力が残ってるから買う。
順番はそっちやな
よくある質問(FAQ)
Q1. 金利が上がるなら、いま銀行株を買った方がいいですか?
金利が上がれば銀行の利益は増えやすいけど、それを見越して株価が先に動いてることも多いで。
あとから乗るかどうかは、自分の基準で見て決めることやな。
「金利が上がるから」だけで銘柄を足すのは、買う理由としては弱いと思ってる。
Q2. 自己資本比率は何%あれば安心なんですか?
一般的な業種なら60%以上あれば借金は軽い方や。
ただ業種で全然ちがうから、同じ業種の会社どうしで比べるのがいちばん確実やで。
不動産や銀行を一般企業と同じ物差しで見たらあかん。
Q3. 金利が上がると配当も減りますか?
利息の負担が増えて利益が減れば、そのぶん配当を出す余力は落ちるわな。
ただ配当は利益だけやなくて、会社の方針と手元の現金で決まる。
金利が上がったからすぐ減配、とはならへんで。
Q4. 金利が下がり始めてから、逆風だった業種を買えばいいですか?
下がり始めてからやと、株価はもう戻ってしまってることが多いわな。
拾うなら、金利が上がってて売られてる間になる。
ただ、いつ下がり出すかは読めへんから、買うとしても一度に入れんと量を分けるで。
そのうえで本筋は、業種の空いてるところを埋めることやと思ってる。
まとめ
金利が上がると株価が下がりやすい理由は3つです。
預金や国債でも増えるようになること、会社が払う利息が増えること、円高に振れて輸出で稼ぐ会社の利益が目減りすることです。
1つ目は全部の株に等しくかかり、あとの2つは会社によって差が出ます。
ただし、金利だけで株価は決まりません。
2019年からの7年は金利が上がる一方で、日経平均は2.8倍になりました。
企業の1株あたり利益が1.9倍に増えたからです。
持っている31銘柄は、金利が動いても売りません。
売買を決めるのは配当と財務であって、金利ではないからです。
そして買う側から見れば、金利で売られた場面は同じ配当を安く買える機会になります。
株価が高いところが多いなかで、割高ではない値段で拾える銘柄が出てくるかもしれません。
確かめるのは株価ではなく、配当を出す力です。
金利や株価の数字は、2026年9月8日までに公表されているものです。
出典:財務省「国債金利情報」(日本の10年国債の利回り)、nikkei225jp.com「日本株225 PER PBR」(日経平均・PER・ドル円)、Yahoo!ファイナンス(S&P500・米10年国債の利回り)。
1株あたり利益は日経平均をPERで割って算出しています。
自己資本比率は各社の直近決算にもとづく数値です。
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