個人向け国債はどうなの?|長期金利が上がっても、個人がもらう利率は別の話

個人向け国債は定期預金の上位互換? 投資の基礎知識
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2026年9月2日、日本の長期金利が30年ぶりに3%を超えました。
ニュースで「国債」という言葉を何度も見た人も多いと思います。
この記事の数字は、すべて2026年9月8日時点のものです。

そもそも国債とは、国にお金を貸すこと

国債は、国にお金を貸して、代わりに利子を受け取る商品です。
決められた期間が過ぎれば、貸したお金は返ってきます。

株を買うと、その会社の一部を持つことになります。
国債は貸しているだけなので、値上がりを狙うものではありません。

まぐ
まぐ

国債は国にお金を貸してるだけなん?

チャッピー
チャッピー

そうそう。
貸す相手が国やから、返ってこん心配はほとんどない。
そのかわり、会社が伸びたときみたいな儲けもない

債券そのものの仕組みは、債券とは?株との違いと投資のメリット・デメリットにまとめています。

個人が買える国債は、大きく2つに分かれます。
ひとつは個人向け国債で、原則として個人しか買えません。
もうひとつが新窓販国債で、こちらは個人以外も買います。

2つの違いは、途中でやめたときの扱いです。
個人向け国債は途中でやめても元本が戻りますが、新窓販国債はそのときの値段しだいです。
数字は後の章で並べます。

結論|高配当株の代わりではなく、定期預金の置き換えとして見ている

個人向け国債は、個人的には定期預金の置き換えとして見ています。
高配当株の代わりに買うものとは考えていません。

ここは人によって分かれるところで、高配当株を減らして国債に回す人もいます。
ただ、値下がりを引き受けて配当をもらうものと、元本が減らないものでは、役割がちがいます。

株を買わないと決めているお金を、どこに置くか。
比べる相手は、定期預金です。

長期金利が3%でも、個人が3%もらえるわけではない

2026年9月に募集している個人向け国債「変動10年」(第198回)の適用利率は、年1.95%です。
基準金利は2.96%ですが、変動10年の利率は基準金利に0.66を掛けて決まります。

さらに、受け取るときに20.315%の税金が引かれます。
手元に残るのは年1.554%です。

段階利率(年)
基準金利(長期金利)2.96%
×0.66 → 適用利率1.95%
−20.315%の税金 → 手取り1.554%
長期金利2.96%から適用利率1.95%、手取り1.554%への目減りを示した横棒グラフ
まぐ
まぐ

3%もらえると思ってたら、手取りは半分くらいなんやね

チャッピー
チャッピー

そやな。
ニュースの3%は、機関投資家が売り買いしてる10年債の利回りや。
変動10年はそこから0.66を掛けるから、はじめから別の数字なんや

個人向け国債と新窓販国債のちがい|差が出るのは途中でやめたとき

ここが実用上いちばん大事な部分です。
「国債」とひとくくりにすると間違えます。

国債の値段は「額面100円につきいくら」で表します。
100円で買えるという意味ではなく、額面に対する単価のことです。

個人向け国債は、この単価がいつでも100円です。
100円ぶんの額面を100円で買い、満期にも100円で返ってきます。
実際に買うときは最低1万円から1万円単位なので、1万円を出せば1万円ぶんの額面が手に入ります。

発行後1年たてば途中で換金でき、そのときの単価も100円です。
直前2回分の利子(税引前)相当額に0.79685を掛けた金額が差し引かれるだけで、元本は減りません。

一方、銀行や証券会社の窓口で買える新窓販国債は、この単価が100円ちょうどとは限りません
買う単位も最低5万円から5万円単位と大きくなります。
いま募集中の条件を並べると、こうなっています。

買う単位単価償還途中でやめると
個人向け国債(3種類とも)1万円から1万円単位100円100円100円(1年経過後)
新窓販国債 10年(第383回)5万円から5万円単位98円16銭100円そのときの時価
新窓販国債 2年(第488回)5万円から5万円単位100円05銭100円そのときの時価

満期まで持ち続けられるなら、新窓販国債も額面の100円で返ってきます。
そこは個人向け国債と変わりません。

変わるのは、途中でやめるときです。
新窓販国債には国の買い取りによる中途換金制度がありません
やめるには市場で売ることになり、そのときの値段は日々動きます。
買った値段を下回ることもあれば、上回ることもあります。

個人向け国債は、1年たてば国がいつでも100円で買い取ります
満期まで持てるかどうかが読めないお金なら、この差は小さくありません。

まぐ
まぐ

同じ国債でも、途中でやめたときの扱いが全然ちがうわ

チャッピー
チャッピー

せやねん。
個人向け国債は、国がいつでも元本の値段で買い取ってくれる約束になってる。
値動きのある債券というより、期間の決まった預金に近い感覚で持てるんよ

比べる相手は定期預金|基本は定期預金の上位互換

個人向け国債は、発行から1年間は換金できません。
すぐ引き出すお金の置き場所ではないので、普通預金とは役割がちがいます。
同じ土俵に乗るのは、一定期間預けっぱなしにする定期預金です。

三菱UFJ銀行のスーパー定期(2026年9月8日現在)と、9月に募集している個人向け国債を並べます。

期間スーパー定期個人向け国債
3年0.80%1.96%(固定3年)+1.16pt
5年1.00%2.24%(固定5年)+1.24pt
10年1.25%1.95%(変動10年)+0.70pt
三菱UFJ銀行スーパー定期と個人向け国債の利率を3年・5年・10年で比べた棒グラフ

3年・5年・10年のどれでも国債の方が上です。
5年で比べると2.24%と1.00%で、受け取りは2倍以上になります。

まぐ
まぐ

定期預金を選ぶ理由が、利率だけやと見つからへんね

チャッピー
チャッピー

そうなんよ。
しかも差がつくのは利率だけやない。
途中でやめたときの扱いも、国債の方が有利や

途中でやめたときの差は、こうなります。

定期預金個人向け国債
途中でやめるいつでも解約できる1年間はできない
やめたときの利子中途解約利率に下がる直前2回分の利子を引かれるだけ
元本減らない減らない
金利が上がったら満期まで変わらない変動10年は半年ごとについていく

定期預金は途中解約すると、約束していた利率ではなく中途解約利率が適用されます。
個人向け国債は、直前2回分の利子相当額が引かれるだけで、元本は100円のまま戻ります。

利率が高く、途中でやめたときの目減りが小さく、金利上昇にもついていく。
定期預金の上位互換として見ています。

弱点は最初の1年間まったく動かせないことと、募集が月に1回しかないことです。
1年以内に使うかもしれないお金は、定期預金か普通預金に置いた方が困りません。

いま利率が高いのは固定5年|それでも変動10年から見る理由

個人向け国債は3種類あり、いちばん利率が高いのは固定5年(年2.24%)です。
変動10年の1.95%より高くなっています。

種類利率の決め方今回の利率税引後
変動10年(第198回)基準金利×0.661.95%1.554%
固定5年(第186回)基準金利−0.05%2.24%1.785%
固定3年(第196回)基準金利−0.03%1.96%1.562%

この差は、利率の決め方の違いから出ています。
固定5年と固定3年は基準金利からわずかに引くだけで、変動10年は0.66を掛けます。

それでも変動10年から見る理由は、半年ごとに利率が見直されることです。
固定5年は、いまの2.24%が5年間変わりません。

日銀は9月17日から18日に金融政策決定会合を開きます。
利上げの観測が続いていて、その先も金利が上がるなら、変動10年は半年ごとについていきます。
逆に下がる局面なら、固定5年で2.24%を確保しておいた方が有利です。

まぐ
まぐ

いまの利率だけなら固定5年やけど、5年先の金利までは読めへんからな

チャッピー
チャッピー

そらそうやで。
0.29ポイント高い代わりに、利率は5年間そのままや。
金利が上がっても乗ってこん。
そこをどう見るかだけの話や

どこで買うか|条件はどこも同じで、手数が少ないのはネット証券

個人向け国債は、証券会社・銀行・郵便局で買えます。
取扱金融機関は873機関あります。

利率も価格も国が決めるので、どこで買っても同じです。
募集価格は額面100円につき100円で、購入時の手数料もかかりません。

ネット証券なら、SBI証券と楽天証券のどちらでも買えます
変動10年・固定5年・固定3年の3種類とも扱っていて、募集期間中ならネットだけで申し込みが終わります。

買えるのは1万円から1万円単位で、上限はありません。
すでにどちらかで株や投資信託を買っているなら、その口座からそのまま買えます。
口座がない場合は、まず口座開設からです。

銀行や郵便局の窓口でも買えます。
ただ窓口の場合は来店の予約が要ることがあり、その日のうちに手続きが終わらないこともあります。
三菱UFJ銀行は、予約がないと後日の案内になる場合があると書いています。

まぐ
まぐ

銀行は定期預金を売りたいやろから、窓口で国債を勧めてはこんやろな。
条件が同じなら、口座があるネット証券で済ませたらいいで

チャッピー
チャッピー

ほんまそれや。
ただ証券会社によっては、購入額に応じたキャンペーンをやってることがある。
金額や対象者の条件が細かいから、買う前にその時点の内容を見といたらええ

買えるのは募集期間の中だけです。
今回の分は9月30日まで受け付けていて、発行日は10月15日になります。
募集は毎月あるので、間に合わなければ翌月にまわせます。

個人向け国債はNISAでは買えません
NISAの対象は上場株式や投資信託で、公社債は入っていないためです。
買うときは課税口座(特定口座か一般口座)を使うことになります。

それでも、いまは買っていない

ここまで整理しておいて、いまは持っていません
理由は2つあります。

1つめは、管理が単純な方が続くからです。
リスク資産は株、無リスク資産は現金、という2つだけで持っていれば、比率を見るのに計算が要りません。
そこに国債が入ると、置き場所が3つになります。

2つめは、40代でまだ15年以上の時間が取れるからです。
株式は長く持てるほど有利とされます。
その時間が残っているうちは、無リスク資産を厚くする理由がありません。

ただし、どちらも条件が変われば結論が変わります
取り崩す時期が近づけば時間は短くなり、無リスク資産の比率は上がっていきます。
そのときには、置き場所を1つ増やす手間より、受け取りが増える方が大きくなります。

まぐのメモ:勧めやすいものと、いま買うものは別

人に勧めやすいかどうかで言えば、個人向け国債の変動10年はかなり上の方に来る。
元本が減らんし、1万円から買えて、毎月募集してて、金利が上がればついてくる。
説明することがほとんどないんよな。

それでも買ってへんのは、商品の出来とは関係のない理由や。
置き場所を増やしたくない、それだけの話で、そこは人によって答えが変わる。

いまは要らんけど、条件が変われば買う。
この記事の立ち位置はそこや。

まとめ

① 長期金利が3%でも、変動10年の利率は基準金利×0.66で年1.95%。
税引後は1.554%です。

② 個人向け国債も新窓販国債も、満期まで持てば額面の100円で戻ります。
ちがうのは途中でやめたときで、個人向け国債は1年たてば国が100円で買い取り、新窓販国債は市場で売ることになります。

③ 比べる相手は定期預金。
三菱UFJ銀行のスーパー定期5年1.00%に対し、個人向け国債の固定5年は2.24%です。

④ 個人向け国債3種類のうち、いま利率が高いのは固定5年の2.24%。
変動10年は利率で劣る代わりに、半年ごとに見直されます。

⑤ どこで買っても利率も価格も同じで、購入時の手数料もかかりません。
ただしNISAでは買えず、課税口座を使うことになります。

無リスク資産の一部を、現金から国債に置き換えて、資産全体の利回りを少し上げる。
個人向け国債の使い道は、そこに絞ると分かりやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 変動10年と固定5年、どっちがいいですか?

金利がこの先も上がると思うなら変動10年、ここが天井やと思うなら固定5年やな。
ただ、それが読めたら苦労せえへん。
読めへんという前提に立つなら、半年ごとに勝手についてくる変動10年の方が考えることが少ない。

Q2. ネット銀行の定期預金の方が金利は高くないですか?

ネット銀行やキャンペーン金利やと、国債を上回ることはある。
ただ、そういうのは預入期間が短かったり、金額に上限があったり、新規のお金だけが対象やったりする。
利率だけ見て決めんと、期間と上限をセットで見た方がええ。
条件が合うなら、そっちを使わん理由はない。

Q3. 途中で換金したら損しますか?

発行から1年たてば、元本は100円で戻ってくる。
差し引かれるのは直前2回分の利子(税引前)相当額×0.79685で、それまでに受け取った利子から引かれる形や。
元本が削られるわけやない。
ただし発行後1年間は、原則として換金できひん。

Q4. 高配当株を売って国債に移すべきですか?

うちはそういう入れ替えはせえへん。
役割がちがうものを入れ替えても、リスクの取り方が変わるだけで得にはならん。
もし国債を持つなら、現金として置いてあるお金の一部を回す方や。

Q5. まとまったお金がないと意味がないですか?

1万円から買えるから、金額の下は気にせんでええ。
ただ1万円やと、5年ものでも三菱UFJ銀行のスーパー定期5年との差は年124円(税引前)や。
手間に見合うかどうかで考えたらええし、無リスク資産がまとまってきてから動いても遅くない。

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出典:財務省「個人向け国債」(変動10年 第198回・固定5年 第186回・固定3年 第196回の発行条件、現在募集中の個人向け国債・新窓販国債)、日本経済新聞(長期金利3%・30年ぶり高水準)、三菱UFJ銀行「円預金金利」(2026年9月8日現在)。
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