2020年の春、新型コロナウイルスの広がりで日本株の株価は大きく下がりました。
高配当ETFも例外ではなく、純資産総額の上位5本の価格は、2020年の高値から3月の安値まで28〜31%下がっています。
では、受け取る分配金はどうだったのか。
日本の高配当株ETFは何が違う?純資産ランキング上位5本を比べてみた、高配当ETFの構成銘柄を採点してみた|上位5本の特徴と向いている人の違いに続いて、同じ5本の分配金を2019年と2020年で比べてみました。
あわせて、今の構成銘柄のうち、コロナの時期に減配した会社がどれくらいあったかも調べました。
📝 この記事でわかること
✅ 2020年の値下がりは5本ともほぼ同じ(28〜31%)
✅ 2020年の分配金は4本が12〜16%減、配当貴族だけ5.6%増
✅ 2019年の分配金の額に戻るまでの年数(1年〜4年)
✅ 減配した構成銘柄の割合と、その顔ぶれ
✅ 分配金の差を分けた、指数の銘柄の選び方

コロナのとき、高配当ETFの分配金ってどれだけ減ったんやろ。





2020年の値下がりは5本ともほぼ同じやったけど、分配金は差がはっきり出たで。
2019年より減らへんかったのは配当貴族だけや。
結論|高配当ETF上位5本の価格は約3割下がり、分配金が減らなかったのは配当貴族だけ
2020年の値下がりは、日本の高配当ETF上位5本とも28〜31%で、ほとんど差がありませんでした。
差が出たのは分配金です。
1口あたりの分配金を2019年と2020年で比べると、配当貴族は5.6%増え、残りの4本は11.8〜16.2%減りました。
| ETF | 2020年の値下がり | 2020年の分配金 (2019年比) | 2019年の額に 戻った年 |
|---|---|---|---|
| 1494 配当貴族 | -28.8% | +5.6% | 減らず |
| 1478 MSCI高配当 | -28.3% | -16.2% | 2022年 |
| 1651 TOPIX高配当40 | -28.7% | -11.8% | 2024年 |
| 1577 野村高配当70 | -30.1% | -13.9% | 2022年 |
| 1489 日経高配当50 | -30.9% | -13.5% | 2021年 |
※値下がりは2020年1〜2月の高値から2〜4月の安値まで(終値)。
分配金は1口あたり・税引前を暦年で合計しています。
分配金の差を分けたのは、指数が銘柄を選ぶルールです。
配当貴族は「10年続けて配当を減らしていない」銘柄から選ぶ指数で、残りの4本は、配当利回りの高さや財務の条件で選ぶ指数です。
コロナの年には、景気に左右されやすい業種の会社が配当を減らし、その分が分配金の減少に表れました。
2020年の値動き|高配当ETF上位5本とも同じように下がり、1年ほどで戻った
日本の高配当ETF上位5本の値動きを、2020年1月の最初の週を100としてそろえると、3月には70台前半まで下がっています。
下げ方に大きな違いはなく、どれも2021年の2〜3月には2020年初めの高値まで戻りました。


| ETF | 高値から安値までの下げ | 高値に戻った月 |
|---|---|---|
| 1494 配当貴族 | -28.8% | 2021年2月 |
| 1478 MSCI高配当 | -28.3% | 2021年2月 |
| 1651 TOPIX高配当40 | -28.7% | 2021年2月 |
| 1577 野村高配当70 | -30.1% | 2021年3月 |
| 1489 日経高配当50 | -30.9% | 2021年3月 |
値下がりの大きさで比べると、配当貴族とほかの4本は同じくらいでした。
配当が減りにくい銘柄を集めたETFでも、価格の下げまで小さくなるわけではありません。





配当貴族も、2020年の価格はほかの4本と同じくらい下がってるな。





相場全体が下がるときは、配当が続く銘柄も一緒に売られるからな。
分配金はどう動いた?|4本は12〜16%減り、配当貴族は5.6%増えた
2019年と2020年の分配金を、1口あたりで比べました。
いちばん減ったのはMSCI高配当の16.2%で、野村高配当70が13.9%、日経高配当50が13.5%、TOPIX高配当40が11.8%と続きます。
配当貴族は537円から567円に増えました。


| ETF | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
|---|---|---|---|
| 1494 配当貴族 | 537円 | 567円 | 671円 |
| 1478 MSCI高配当 | 68円 | 57円 | 57円 |
| 1651 TOPIX高配当40 | 35.7円 | 31.5円 | 33.3円 |
| 1577 野村高配当70 | 814円 | 701円 | 764円 |
| 1489 日経高配当50 | 44.6円 | 38.6円 | 46.9円 |
※1口あたり・税引前・暦年の合計。
1口の大きさはETFごとに違うので、金額どうしではなく増減の割合で比べています。
日経高配当50は株式分割を調整した額です。
2019年の額に戻るまでの年数にも差がありました。
日経高配当50は2021年、MSCI高配当と野村高配当70は2022年に戻っています。
TOPIX高配当40は2021〜2023年も31〜35円にとどまり、2019年の35.7円を超えたのは2024年でした。







日経高配当50の分配金は2020年に13.5%減ったけど、2021年にはもう2019年より多くなってるやん。





そやで。
分配金の減り方も、元の額に戻るまでの年数も、ETFごとにかなり違うんよ。


価格は、2025年の平均で見ると、5本とも2019年の1.8〜2.3倍になっています。
ただ、価格の伸びがいちばん大きかったのはTOPIX高配当40で、分配金の伸びがいちばん大きかった配当貴族は、価格では5本のうち4番目でした。
価格がよく伸びたETFほど、分配金も伸びたわけではありません。





分配金がなかなか戻らんかったTOPIX高配当40が、価格はいちばん伸びてるんやね。





そうなんよ。
ただ、2024年からは分配金も一気に増えてるで。





結局、値上がり益を取りに行くか、分配金の安定を取りに行くかって感じやな。
分配金を減らしたのは、構成銘柄の減配
ETFの分配金は、構成銘柄から受け取る配当がもとになっています。
構成銘柄が減配すれば、ETFの分配金も減ります。
そこで、今の構成銘柄のうち、2020年か2021年に終わった決算期に、前の期より年間の配当を減らした会社を数えました。
株式分割や決算期の変更で減ったように見えるだけの会社は、1社ずつ配当の実績を確かめて外しています。
| ETF | 減配した会社 | 組入比率で見た割合 | うち20%以上の減配 |
|---|---|---|---|
| 1494 配当貴族 | 2社/49社 | 5% | 1社 |
| 1478 MSCI高配当 | 10社/34社 | 26% | 9社 |
| 1651 TOPIX高配当40 | 10社/40社 | 18% | 8社 |
| 1577 野村高配当70 | 21社/68社 | 29% | 16社 |
| 1489 日経高配当50 | 23社/50社 | 43% | 19社 |
※今の構成銘柄で数えています。
2020年当時の構成銘柄とは一部違います。
日経高配当50は、50社のうち23社が減配していて、組入比率で見ると全体の43%を占めていました。
配当貴族は5%にとどまり、20%以上の減配はアマノの1社だけでした。
大きく減配した会社には、小松製作所・ブリヂストン・キヤノン・SUBARU・いすゞ自動車・日本製鉄など、景気に左右されやすい業種の会社が並びます。
どれも、配当利回りの高さで選ぶ指数によく入る銘柄です。





日経高配当50は、組入比率の4割以上をコロナの時期に減配した会社が占めてるんやね。
配当貴族の分配金が減らなかったのは、銘柄の選び方のルール
配当貴族(S&P/JPX配当貴族指数)は、10年以上続けて配当を増やしているか、同じ額を保っている銘柄から選びます。
構成銘柄が配当を減らしたり、無配にしたりすると、翌月に指数から外れるルールもあります。
減配した銘柄がそのまま残り続けにくいしくみです。
日経高配当50・野村高配当70・TOPIX高配当40は、配当利回りの高い順に銘柄を選ぶ指数です。
利回りが高い銘柄には、景気がいいときに配当を大きく増やし、景気が悪くなると減らす会社も入ります。
コロナの年は、そうした会社の減配が分配金にそのまま表れました。
MSCI高配当は、過去5年の1株配当の伸びがマイナスの銘柄や、財務の条件に合わない銘柄を外して選ぶ指数です。
それでも2020年の分配金は5本でいちばん大きく減りました。
今の構成銘柄でいうと、組入比率の大きい小松製作所・ブリヂストン・キヤノンも、コロナの時期に配当を減らしています。
配当の伸びを見る条件と、配当を減らさない実績を見る条件は、別のものです。





配当貴族は「10年配当を減らしてない」銘柄から選んで、減配したら外すルールなんよ。
減配した銘柄が残りにくいから、コロナの年も分配金が減りにくかったんやと思うで。
TOPIX高配当40は、2019年の分配金の額に戻るまで4年かかった
TOPIX高配当40の分配金は、2019年の35.7円から、2020年に31.5円まで減りました。
その後も2021年33.3円、2022年33.8円、2023年34.9円と少しずつしか増えず、4年間35.7円に届きませんでした。
一方で、価格は2019年の平均951円から2023年の平均1,501円へ、約1.6倍に上がっています。
価格は戻ったのに、分配金は戻らなかったことになります。
2024年は53.5円と、一気に2019年を上回りました。
ETFの決算資料では、受け取った配当の総額は2019年から2023年に約2.1倍に増えていました。
1口あたりの分配金が横ばいだった理由までは、公表されている資料では確かめきれませんでした。





TOPIX高配当40みたいに、価格が戻っても分配金が元の額まで戻るとは限らんのやね。
この比較から学べること
①下げ幅が同じでも、分配金の減り方は違う
2020年の値下がりは日本の高配当ETF上位5本とも28〜31%でしたが、分配金は+5.6%から−16.2%まで分かれました。
高配当ETFを選ぶときは、値動きだけでなく、相場が悪い年に分配金がどう動いたかも見ておくと安心だと思います。
②利回りの高い順に選ぶETFは、景気が悪い年に分配金が減りやすい
利回りの高い順に選ぶ指数には、景気に左右されやすい業種の会社が多く入ります。
そうした会社が減配すると、ETFの分配金もまとめて減ります。
③配当が減りにくいETFでも、価格は同じように下がる
配当貴族の2020年の値下がりは28.8%で、ほかの4本と同じくらいでした。
配当が続く銘柄を集めても、相場全体が下がるときの値下がりは避けられません。
④元の分配金の額に戻るまでの年数も、ETFで違う
日経高配当50は1年で戻り、TOPIX高配当40は4年かかりました。
減ったあとにどれだけ早く戻るかも、ETFによって違います。
この記事の要点
・2020年の値下がりは日本の高配当ETF上位5本とも28〜31%でほぼ同じ
・2020年の分配金は配当貴族だけ+5.6%、ほかの4本は11.8〜16.2%減
・今の構成銘柄で減配した会社の割合は、日経高配当50が43%、配当貴族が5%(組入比率で)
・差を分けたのは指数の銘柄の選び方(10年減配なしで選ぶか、利回りの高い順に選ぶか)
・TOPIX高配当40は、2019年の分配金の額に戻るまで4年かかった
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よくある質問(FAQ)
Q1. 次に暴落が来たときも、配当貴族の分配金は減らないんですか?
それは分からへん。
2020年に減らへんかったのは、その年の構成銘柄が配当を保てたからで、次も同じになるとは限らん。
ただ、減配した銘柄を外すルールがあるから、利回りの高い順に選ぶETFよりは減りにくいと思う。
Q2. 分配金が減ったETFは、選ばない方がいいんですか?
そうとも限らんで。
日経高配当50は2020年に13.5%減ったけど、2021年にはもう2019年より多くなってる。
いまの分配金の多さを取るか、減りにくさを取るかで、合うETFが変わるんよ。
Q3. 2020年当時の構成銘柄で数えていないのはなぜですか?
当時の構成銘柄と組入比率が、公表資料で全部はそろわへんかったからや。
やから減配の割合は、今入ってる銘柄がコロナのときにどうやったかの数字として見てな。
分配金の増減は、当時の実際の数字やで。
まぐのメモ
安定して分配金をもらいたいから、ETFで選ぶなら配当貴族かなと思ってる。
今回比べた5本で、コロナの2020年に分配金が減らんかったのは配当貴族だけやった。
個別株を選ぶときも、コロナのときに減配したかどうかは確かめてる。
ただ、減配してたら買わん、というわけやない。
減配しやすい銘柄ばかりに寄らんように、全体のバランスを見てる。
もちろん、減配してないに越したことはないけどな。
ETFでも個別株でも、いちばん大事なのは、投資の目的に合ってるかどうかを確かめることやと思う。
分配金が減りにくい方がいいのか、当面の利回りの高さを取りたいのか、値上がりを取りたいのか。
それによって、選ぶETFは変わってくるで。
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数値は記事作成時点のもので、今後変わることがあります。







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