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【お金の言葉 #068】自社株買いってなんやろ?

お金の言葉

■自社株買いって?

まぐ
まぐ

チャッピー、「自社株買い」ってよくニュースで見るけど、要するに何してるん?

チャッピー
チャッピー

ざっくり言うと、会社が自分の株を市場から買い戻すことや。買って集めた株はだいたい消却(なくす)か、自己株式として保有するんや。

■何のために?

まぐ
まぐ

会社が自社株を買い戻す理由が知りたいわ。

チャッピー
チャッピー

代表的にはこんな感じや。

  • 余剰資金の株主還元(配当+自社株買い=総還元性向の一部)
  • PBR是正や株価の評価是正のメッセージ(「うちの株は割安やと思っとる」)
  • 希薄化の相殺(新株発行やストックオプション行使で増えた分を吸収)
  • 資本効率(ROE)意識:資本を最適化して“稼ぐ効率”を上げたい

■自社株買いはお得?

まぐ
まぐ

買い戻したら、株主にはどんな得があるん?

チャッピー
チャッピー

ポイントは2つ。

  1. EPSが上がりやすい(=1株の取り分が増える)
  2. 需給が改善しやすい(=株価の上昇圧力になりやすい)

1) EPSが上がる仕組み

まぐ
まぐ

EPSって「1株当たり利益(Earnings Per Share)」やったっけ?
 それで、どう増えるん?

チャッピー
チャッピー

EPS = 純利益 ÷ 発行株式数 やろ。
自社株買い→発行株式数が減る→同じ純利益でも1株あたりの取り分が増えるって流れや。

まぐ
まぐ

数字で言ってくれたらもっとピンとくるかな!?

チャッピー
チャッピー

OK!
たとえば、純利益100億円・発行株式数1億株やとEPS=100円
ここで1,000万株(=10%)買い戻して消却すると、株数は9,000万株
EPS ≒ 100億 ÷ 9,000万 = 約111円
もし市場がPERを10倍で見てるなら、理屈上の株価は100円×10倍=1,000円から、111円×10倍=1,110円へ“上にズレ”やすい、って話やな。

まぐ
まぐ

なるほど、そうやって上がるんか

チャッピー
チャッピー

もちろん現実は他の要因も絡むけど、「PER一定ならEPS上昇=理論株価も上」の筋は覚えとくと便利や。

2) 需給が改善するロジック

まぐ
まぐ

需給って、なんで良くなるん?

チャッピー
チャッピー

椅子取りゲームで考えよか。
椅子(=市場に出回る株数)が減るのに、座りたい人(=買いたい投資家)は同じか増えると、椅子の取り合いが起きて価格が上がりやすい

まぐ
まぐ

座りたい人が全員座られへんってことやからもんな。
座りたいなら今までより競争が激しく(値段が高く)なるってことか。

チャッピー
チャッピー

とくに、消却までやると浮動株が減る取り合いが激しくなる上に振れやすい
さらに会社自体が買い手に回るぶん、板の下支えにもなりやすいんよ。

■取得のやり方いろいろ

まぐ
まぐ

買い方に種類とかあるん?

チャッピー
チャッピー

あるで。だいたいこの3パターン。

  • 市場買付:普段の市場でコツコツ買う(VWAPや一定金額上限で期間内に実施)。
  • 立会外(ToSTNeT-3等):場の外でまとめてドン。需給を一気に調整。
  • TOB(公開買付):価格を提示して幅広く募る。プレミアムが乗ることもある。

■消却する?保有する?

まぐ
まぐ

買った株は全部償却するもんなん?

チャッピー
チャッピー

消却すると発行株式数が減るから、EPSはハッキリ増えやすい
一方、自己株式として保有のままやとEPSは原則その時点で変わらん
将来ストックオプションの交付M&Aの対価に回すと、再び希薄化の可能性があるから、その使い道もチェックや。

■注意点・落とし穴

まぐ
まぐ

聞いてるとええことづくしやけど、気をつける点はある?

チャッピー
チャッピー

ここ大事。

  • 資金の使い道として妥当か? 成長投資そっちのけで株価対策に偏るのは△。
  • タイミング:めっちゃ高いとこで大量に買うと逆効果(資本効率ダウン)。
  • “発表だけ”で上がる思惑相場:実施規模や期間、消却の有無まで確認。
  • 自己株“保有”どまり:あとから放出で希薄化リスク再来の可能性。
  • 単発で終わるより、方針(総還元性向や継続性)が見えると安心度UP。

■どれくらいの規模?

まぐ
まぐ

ちなみに、自社株買いってどれくらいの規模が普通なん?

チャッピー
チャッピー

そこも気になるとこやな。ざっくり目安を言うと👇

  • 2〜3%くらい:よくある規模。「まあ普通やな」って感じ。
  • 5%超え:結構がんばってる。「おっ、やるやん!」ってなる。
  • 10%超え:かなり大規模。「めちゃやるやん!」って市場もインパクト大きめ。
まぐ
まぐ

なるほど。規模感でもだいぶ見え方が変わるんやな。

チャッピー
チャッピー

せやな。
会社の資金力とか規模にもよるけど、だいたいこれくらいを目安にしとくとニュース見たときにピンときやすいで。

長期投資家(配当派)の視点

まぐ
まぐ

長期の高配当株派としては自社株買いをどう見たらいいん?

チャッピー
チャッピー

ええ視点やな。

  • 配当×自社株買い=総還元として見る。配当は“今の現金”、自社株買いはEPS押し上げ→将来の増配余地株価の下支え
  • 消却を伴う買い1株配当の持続性にもプラス(総支払配当は同じでも株数減るから“1株あたり”を守りやすい)。
  • 税制目線では、配当は即課税自社株買いは直接は課税されず(上昇益は売却時に課税)。好みと戦略で見方が分かれるとこやな。

■どこをチェックすればええ?

まぐ
まぐ

発表出たとき、何を見ればええ?

チャッピー
チャッピー

この4つは最低限チェック!

  1. 上限金額・上限株数(規模感)
  2. 取得期間(短期一気か、じわじわか)
  3. 取得方法(市場買付/立会外/TOB)
  4. 消却の有無・時期(EPSと需給への効き)

あとは、財務体力(手元資金・フリーCF・自己資本比率)投資計画との両立も見ると“本気度”が分かるで。

まぐ
まぐ

だいぶ腹落ちしたわ。要は、

  • EPS面:分母(株数)を減らして“1株の取り分”を増やす
  • 需給面:市場に出回る株を減らして“椅子取り”をキツくする

ってことやな。

チャッピー
チャッピー

その理解、満点!
あとは規模・期間・消却の3点セットを毎回チェックする癖つけたら、発表に一喜一憂せずに“効きの強さ”を見極められるで。

■まとめ

  • 自社株買いとは:会社が市場から自分の株を買い戻すこと。消却 or 保有に分かれる
  • 狙い:余剰資金の株主還元、株価是正、希薄化対策、ROE改善など
  • 株主のメリット
    • EPS上昇(株数減→1株当たり利益が増える)
    • 需給改善(市場に出回る株が減り、株価の上昇圧力になりやすい)
  • 取得方法:市場買付・立会外取引・TOBなど
  • 消却の有無:消却ならEPSが明確に増加、保有なら将来の再放出リスクあり
  • 注意点
    • 成長投資を犠牲にした“株価対策”は要注意
    • 発表だけで実施が伴わないケースもある
    • 高値圏で大量に買うと資本効率ダウン
  • 規模感の目安
    • 2〜3%:よくある規模(普通)
    • 5%超:積極的(おっ、やるやん)
    • 10%超:大規模(めちゃやるやん、インパクト大)
  • 長期投資家の視点
    • 配当=現金、自社株買い=将来のEPS・増配余地
    • 消却を伴えば1株配当の持続性にもプラス
    • 税制:配当は即課税、自社株買いは含み益のまま→売却時課税

まぐのメモ

自社株買いってニュースでよく見るけど、仕組みを分かってたら「どれくらい効くんか」が読みやすいな。

発行株数を減らすからEPSが増えるっていうのは、ちゃんと数字で見たら腹落ちしたわ。椅子取りゲームの例えも分かりやすいしな。

規模感も、2〜3%は普通、5%超えたら結構がんばってる、10%ならめっちゃやるやん!って基準があるのはありがたい。ニュース見たときに「ふーん」で終わらせずにインパクトを測れる。

ただ「発表だけ」ってパターンもあるし、消却するのかどうかでも全然違うんやな。保有のままやと、あとで放出されて株数がまた増えるリスクもある。

だから「規模・期間・方法・消却の有無」この4点セットは必ずチェックせんとあかんわ。

長期で高配当株を持ってる自分としては、配当と合わせて総還元で考えるのがええ感じやな。配当は今のキャッシュ、自社株買いは将来のEPSと増配余地ってことやから、両方あると安心感が増すわ。

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